出版社内容情報
あこがれの女性のためなら死んでもいいと願う少年の純粋な恋心を描く問題作「恋を知る頃」、特異な恋愛観を打ち出した「熱風に吹かれて」「捨てられる迄」、自らマゾヒストであることを表明し、小悪魔的な娘と実践におよぶ青年の快楽とむなしさの顛末記「饒太郎」など、初期作品を収載する。
内容説明
あこがれの女性のためなら死んでもいいと願う少年の純粋な恋心を描く問題作「恋を知る頃」、特異な恋愛観を打ち出した「熱風に吹かれて」「捨てられる迄」、自らマゾヒストであることを表明し、小悪魔的な娘と実践におよぶ青年の快楽とむなしさの顛末記「饒太郎」など、初期作品を収載する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あおい
17
「恐怖」のみ。再読。これはかなりエッセイに近い作品だと思う。2019/02/03
masabi
12
【概要】谷崎潤一郎全集第二巻。【感想】「恋を知る頃」恋する相手の恋の成就のために殺される少年、女のために人殺しをする男。「捨てられる迄」女を捨てるか女の奴隷になるのが幸福だと考えていた主人公が、女の結婚とともに捨てられる。ある男を評して愛玩の道具は恋人以上に日用品で、恋人は別れようと道具は手元に残ると思っていたが、その男に恋人の地位を取られ道具としても捨てられる。嫌な幕切れだが、女が主人公を見限ったのは不用意な電話で男の胸の内を知り、完全に優位に立ったと確信した時点だろうか。2020/10/17
訪問者
5
「恋を知る頃」、「熱風に吹かれて」、「捨てられる迄」、「饒太郎」と本巻も傑作ぞろい。2019/07/17
くらげかも
2
『恋を知る頃』のみ。初 谷崎でこれを読んでしまった。マゾヒズム趣味についても当然知らない中で触れたので、ひっくり返るような気持ちで読了。しかし印象に残る作品でもある。初 三島で「潮騒」を読んだときと似たような心持ち。2024/02/12
MatsumotoShuji
2
二十代もそろそろ終わろうかという頃の作品集。目立つのは「恋を知る頃」、「捨てられる迄」、「饒太郎」のマゾヒズム。それぞれ微妙にベクトルは違うけれど、これがこのあと数十年かけて「女の足に踏まれながら死にたい」という願いに浄化されていくわけだ。まあ、これほど「浄化」という言葉がふさわしくない願望もないけれどさ。2018/05/28