出版社内容情報
ギリシア人はどのようにして「哲学すること」を始めたのか。西洋文明の根幹にある営みに光を当てる。
【2008年度 毎日出版文化賞(特別賞)受賞】
内容説明
西洋文化・伝統の根幹をなす営み、ここに始まる―西洋哲学の全体像を描き出す日本初のシリーズ、第10弾。
目次
総論 始まりとしてのギリシア
1 最初の哲学者たち
2 エレア学派と多元論者たち
3 ソフィスト思潮
4 ソクラテス
5 小ソクラテス学派
6 プラトン
7 アリストテレス
8 テオプラストスと初期ペリパトス学派
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
・C・
4
大事そうな内容をまとめてノートに書き記す、という教科書のような使い方をして読了。まさしく哲学の教科書である。1冊でも圧倒的な内容量であるがこれが後10数冊あると言うのだから哲学の歴史は底知れない。分かりにくい箇所が無いといえば嘘になるが前後の文脈に気を置けばそこまで意味不明なものはない。そもそも哲学史を学ぶのは各哲学者の言葉の文脈を理解するためであるから非常に有用で適切な教材と言える。2017/04/17
肉尊
3
西洋哲学史を深く学ぶのに適した教科書です。改めて自然哲学者のパルメニデスの存在は偉大なことを実感。「ある」を基盤としたとき、さまよえる思惟は誤謬から解放され真理への道を歩み始めるのである!という一節が心に響きました。パルメニデスの主張から感じられる違和感がその後の哲学発展にも貢献したのだなと実感しました。アリストテレスは哲学を学ぶ上で乗り越えなければならない大きな壁なのですが、学問対象が広く、つかみどころがないのが難点でした。全体像を把握するにはお勧め。ただ身体・知的能力に欠けた者が奴隷となるべきに疑問。2019/11/09
oDaDa
3
プラトン最高。p483「美しいものに引き寄せられて心動かすたき、われわれは、かつて天上で垣間見たイデア的な真実在へと回帰する道程の第一歩にあるのだ。美しさへの欲求と憧れが、もし本当に何か高い価値を目指すものであるとすれば、それはやがて知性で感得すべき美へと高められていき、ついにはその彼方に美それ自体を望見するところまで達せずにはいないであろう。「正しい恋」のみが、ふたたびわれわれの魂にその道行きに必要な翼を甦らせてくれるのである。」美学(美についての哲学)はプラトンから始まる。ideaはあるに違いない!2016/08/07
そふぃあ
3
ソクラテス、プラトン、アリストテレス、彼らの生きた時代を知ることができる。紹介されている著作を読みたくなって困った。手元にあった『ソクラテスの弁明』だけは読んだけれど、他の本を読むのは我慢して2巻に読み進むことにする。2009/12/15
大森黃馨
2
ソクラテス以前の哲学ないし思考は以後は傍流化の感があるが実際には続き現代において神秘主義や自己啓発と呼ばれるものがその正統末裔なのではないかと愚考する…初期哲学は或いは著述しまたそれを弟子が読むと言う文化はまだ一般的ではなく口伝で伝える(著述は読ませる為ではなく記録保存保管の為?)どこか宗教的なもので基本的に実践の中での悟りを重視するかまた或いは余暇に語らい追求する部活的なものであったように感じる…続く2022/06/19