定本良寛全集 〈第1巻〉 詩集

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  • サイズ A5判/ページ数 593p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784124034745
  • NDC分類 918.5
  • Cコード C0392

出版社内容情報

慈愛に満ちた高貴な精神は、いますべての人びとの心の糧に。良寛研究に新時代を拓く決定版全集です。
第一巻には漢詩775首を収録し、総振り仮名の訓み下し文と懇切な訳注を付しました。

【刊行のことば】
◆筑波大学名誉教授 文学博士 内山知也
 私がはじめて良寛の詩集を読んだのは、昭和二十一年、兵営から復学した翌年のことであった。終戦から一年を経たばかりの私は、何かに縋りつきたい気持だったのであろう。テキストは明治二十五年に刊行された小林二郎編『僧良寛詩集』で、八十頁余の小冊子には宗教詩の偈と普通の詩とが混在し、極めて読みにくいものであったが、今となっては懐かしい書である。
 良寛は不思議な人である。「我が詩は是れ詩に非ず」と称しながら、じつにたくさんの詩を書き残した。自筆稿本「草堂集」シリーズを何度も編集し直し、そのたびに詩の配列を替え、推敲を重ねている。また『布留散東』『久賀美』の自筆本歌集も残している。これらは当然、詩集や歌集として版行することを意図したものであろう。しかし彼の生前に陽の目を見ることはなかった。蔵雲和尚編『良寛道人遺稿』が刊行されたのは慶応三年、良寛入寂後すでに三十六年が経過していた。
 以後、大正七年に玉木礼吉、昭和四年に大島花束、そして同三十四年には東郷豊治の「全集」が上梓され、また数々の優れた訳注書が著された。一方で遺墨の収集が進むにつれ、良寛自筆本の写真版に基づいて研究を進めることが可能になった。
 このたびの『定本良寛全集』は、あくまで自筆本を中心にすえつつ、諸々のテキストを集大成する方針を採った。これにより詩歌集の成立過程が明らかになり、良寛の編集意図を探ることも可能になるであろう。本全集が新たな良寛研究の基礎資料となると同時に、より多くの方が良寛の高貴な精神の深奥に分け入るきっかけとなることを願っている。

【本全集の特色】

<1>良寛の自筆稿本をテキストに採用
良寛は詩集『草堂集貫華』や『草堂詩集』シリーズ三種、歌集『布留散東』『久賀美』など自筆稿本をつくり、また『法華経』をもとに『法華転』『法華讃』を遺しています。可能な限り自筆本をテキストに採用した本全集は、良寛研究の新たなスタートのための基礎資料です。

<2>詩歌の推敲と修訂のあとをたどることができる画期的新編集
良寛の詩歌はすべて連作意識のもとに作られ、詩集・歌集いずれの稿本も良寛自身の編集作業によって作品が配列され、編み直すたびに丹念に推敲と修訂が施されています。本全集によって、良寛の秘められた編集意図と創作に込めた情熱が明らかになります。

<3>詳細な訳注と創作の背景を明らかにする解説
これまでの全集にはなかった詳細な訳注によって、良寛の詩歌の奥深さを平明に解き明かします。また書簡集や文集にも現代語訳をつけ、さらに良寛をめぐる人びとの交流関係を丁寧に解説することによって、人間良寛が身近に感じられるように工夫をこらしました。