出版社内容情報
ルネサンスからロココにいたる西欧絵画を集大成。原画の色調はもとより徴妙なニュアンスをも忠実に再現。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
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第6巻は、全巻の中で最も奇妙かつ魅惑的なボッシュである。巻頭を飾るのはごく初期に描かれた「愚者の石の切開」(プラド美術館)。外科医が頭にロート様のものを被っていたり、見学している女性が頭に本を載せていあたりするのは、それぞれ寓意があるのだろうが、それだけでは説明しきれないものを感じる。圧巻はやはり「悦楽の園」、次いでは「乾草車」(いずれもプラド)、そして「聖アントニウスの誘惑」(リスボン)か。これらはいずれも痛切に「この世の終わり」を感じさせるのである。身体の芯から戦慄する絵画群だ。2021/10/07