出版社内容情報
人生のふとした瞬間に出逢う、暗闇や不安。それを鋭い眼で捉え続けた異端の児童文学者による、伝説の短篇集。巻末に初期短篇を増補した。
【目次】
内容説明
人生のふとした瞬間に誰もが出逢う、拭いがたい暗闇や不安。それを鋭い眼で捉え続け、「異端の児童文学者」と称された作家・岩本敏男。本書は、少年少女に生きる哀しみをしみじみと伝え、「児童文学とは?」という根本的疑問をもたらす一冊として語り継がれてきた伝説の短篇集。巻末に初期短篇二作を増補。
著者等紹介
岩本敏男[イワモトトシオ]
児童文学作家、作詞家。1927年京都府生まれ。立命館大学中退。81年、『からすがカアカア鳴いている』で第十一回赤い鳥文学賞を受賞。加山雄三の「俺は海の子」(作曲:弾厚作)、童謡「でかちびのっぽ」(作曲:大中恩)などの作詞家でもある。2001年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
10
最初から最後までこころがぞわぞわする不穏な短編集。不条理で残酷で悲しい。生きるためには人間はずるくも冷酷にもなる。そこに大人も子どもも関係ない。でもね、面白くて最後まで読んでしまった。読み終わって、闇のむこうに差し込むかすかな光が見える気がするのよ。2026/05/03
ハルト
8
読了:◎ 子どもの視点から見た大人世界の不穏な不条理を書いてある。状況がわからず、ただ子どもはそこにいる。それがしんしんと怖い。夜、童心に返り眠れなくなるような怖さがある。読みながら、子どもたちの身になにが起こるのかが不安となって迫ってくる。ハーメルンの笛吹き男のように、子どもが(そして子ども目線で読んでいる自分が)攫われてしまうのではないかという、恐怖。「童話の葬式」とあるように、童話だけれど負の童話とでも云おうか。乾いた骨の音が歌うような童話たちだった。でも怖くてもどうしようもなく心惹かれる作品2026/04/25
せせらぎ
2
子どものときの漠然とした不安を言語化した一冊。一人留守番中、お母さんがこのまま帰って来なかったらどうしよう、食べ物はあるから1週間は大丈夫かな。でも帰ってきてもそれは本当にお母さんなんだろうか、お母さんそっくりな何かが入れ替わっているかもしれない、でも変わらずに世話をしてくれるなら中身が変わってしまっていても、外側が変わらないなら何も変わっていないのと同じではないか、それなら中身なんてどうでもいいか‥ガラガラと引き戸が開き「ただいま」と声がする。お母さんだ‥中身はどうなっているかわからないけど。みたいな。2026/05/06
ドント
2
読んでいて、強くしっくりと来てしまった。異端の児童文学者による子供が酷い目に遭う掌編と、全く明るくない随筆を収録した一冊。ごく一部を除いて本当に救いがなく、どうしようもなく、ただ立ち竦むしかないようなモノが並んでいる。「トラウマ」「絶望」「地獄」などという手垢のついた表現は似つかわしくない。もっと深い部分で夢も希望もない。死すら救済ではない。しかし私は、これを怖いとは思わない。世界や人生とは本当は「こう」なのだと感じている人にとって、これらの物語は酸素であり暖かい毛布である。私の心の支えになりそうな本だ。2026/04/28
あんこ
1
大人になった今でも「もしもこんなことが起こったらどうしよう…。」と考えることはありませんか?そんな「もしも」の怖い短編集。作者は1927年生まれ。どのお話も昭和に書かれたもので、その時代の暗さや重さが作品にも表れています。しかしそこには現在にも通ずる恐怖が存在しています。おもしろい小説でした。2026/05/08




