出版社内容情報
「私は人ではありません。数百年を旅して回り、メンタマグルメに興じています」
公園の雑木林を狩り場に、人間のメダマを狙う《猫》。
かかわったものに呪いをかけ、どこまでも追いかける《蛇》。
甘言で家を乗っ取り、金だけさらっていく《狐》。
古今東西、人間の陰に生き、喰らい、時に育てる化物たち。
その醜くて愛おしい姿を、とくと、ご覧あれ!
醜悪、異様、狡猾、艶然――。
恒川光太郎が描く、身の毛もよだつ究極のホラー七篇!
内容説明
「私は人ではありません。数百年を旅して回り、メンタマグルメに興じています」公園の雑木林を狩り場に、人間のメダマを狙う“猫”。かかわったものに呪いをかけ、どこまでも追いかける“蛇”。甘言で家を乗っ取り、金だけさらっていく“狐”。古今東西、人間の陰に生き、喰らい、時に育てる化物たち。その醜くて愛おしい姿を、さあ、ご覧あれ!
著者等紹介
恒川光太郎[ツネカワコウタロウ]
1973年東京都生まれ。2005年『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞しデビュー。同作で直木賞候補に。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アッシュ姉
48
待望の恒川さんの最新文庫を購入。書店で目立つ位置に並べられていて嬉しい。本を開くだけでワクワクするのは恒川作品ならでは。トップバッターの「猫どろぼう猫」は猫ミスでも読んだが、コントのような展開とブラックユーモアがツボすぎて何度でも読み返したくなる面白さ。邪悪、怠惰、傲慢、残虐、悪の純度が高い短編が続いて闇に引き込まれるようだったが、終盤にかけて幻想性が強まり、映画を観ているような、壮大な旅をしたような気持ちに。ラストの「音楽の子供たち」は圧巻。恒川さんの頭の中を覗いてみたい。早くも次の新刊が待ち遠しい。2025/09/10
ざるこ
30
7篇。自然と同化し時間をかけてその場に溶け込み目に見えぬ何かに変貌する。それが「バケモノ」と言われるモノ(者)ではないかと想像を巡らせる。蛙の卵や海月を大量殺戮していた自身の子供時代を思い出し、あの残虐が私の奥底にも眠ったままでいないかと「胡乱の山犬」のリアルな迫力を肌で感じて血の気が引く。ひとの思念から生まれたであろうバケモノが自身の存在に疑問を持つ「音楽の子供たち」に至り、侘しさとも寂しさとも感じるラストに不思議な充足感を覚えた。メンタマグルメに興じるケシヨウの白昼の惨劇は戦慄!サバ虎猫おそろしや…。2025/06/12
まさ
22
単行本で読んでいるのだけど文庫が出たので再読。恒川さんの世界は黄昏時の朧げな広がりであることが多いのだけど、この短編集、特に前半は真夜中のような暗さが際立つ。後半はなんだか綺麗とも思える世界なのだけどね。久しぶりの再読だけど忘れている部分も多々ありました。2025/06/23
アーモンド
13
ジャンルはホラーになるのだろうか?そうとは言い切れない不思議な感覚を味わった。魔物が存在する世界を受け入れてしまうような気持ち。人も見方によっては魔物だ。人間を飼ってみようと思う存在があっても不思議ではないかもしれない2025/06/30
a*u*a*i*n34
12
久しぶりの恒川さん。ケンヨウという化け物が登場する短編集です。この不思議で怪しい雰囲気は恒川さんの真骨頂ですね。2025/08/22
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