出版社内容情報
書店員さん発掘! 今読むべきホラー小説。
あたしは悪いことなどしていないのに、いつも嫌われていた。
同級生、そして両親にも。そんなあたしを気にかけてくれるのはママの親友・裕子さんと、くますけだけ。
悪い人は死んでしまえばいい――。
願うと同級生は事故にあい、両親も死ぬ。裕子さんに引き取られたあたしは、くますけが邪悪なぬいぐるみなんじゃないかと思いはじめ……。
内容説明
あたしは悪いことなどしていないのに、いつも嫌われていた。同級生、そして両親にも。そんなあたしを気にかけてくれるのはママの親友・裕子さんと、くますけだけ。悪い人は死んでしまえばいい―。願うと同級生は事故にあい、両親も死ぬ。裕子さんに引き取られたあたしは、ここでくますけが邪悪なぬいぐるみなんじゃないかと思いはじめ…。
著者等紹介
新井素子[アライモトコ]
1960年東京生まれ。立教大学独文科卒業。高校時代に書いた『あたしの中の…』が第一回奇想天外SF新人賞佳作となり、デビュー。81年『グリーン・レクイエム』、82年『ネプチューン』で連続して星雲賞を受賞、99年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bunmei
145
34年前に発刊し、今回6回目の改版となった新井素子のホラーミステリー。一匹の熊のぬいぐるみと少女・成美に関わる周囲に、死や不幸をもたらす、オーソドックスな呪いの人形物語かと思いきや…。むしろ亡くなった両親からの愛情を受けず、誰にも理解されない孤独な少女が抱えるトラウマが引き起こす悪夢による内容で、怖さはなかった。唯一の友達である『くますけ』と成美との周囲に気を遣った子供らしくない大人びた会話に、成美の心の傷の深さと共に痛さを感じた。反面、子供にとって温かな愛に委ねる事のできる家庭の大切さも訴えかけてくる。2025/06/23
ナミのママ
82
ぬいぐるみが友達だった子供時代を過ごした私には懐かしさがともなう作品だった。ホラーと言われればそうかもしれない。1991年に大陸書房にて刊行、1993年新潮文庫、2001年徳間文庫、2012年より中央公論新社とよみつがれてきた作品が、今年また注目されている。潔癖すぎて神経質な母親に育てられた主人公の苦しみ、子供は親を嫌っても良いというセリフ、当時は先進的だったことだろう。ぬいぐるみに話しかけながら、子供の世界観をうまく表している。これからどうなっていくかわからないところが、余韻を残している。2025/04/17
HANA
69
両親と死別した主人公。ぬいぐるみの「くますけ」と一緒に母親の親友に引き取られるのだが…。自分的に大好きな人形系ホラーなのだが、親を失った子供の独白と周囲の人間関係が中心となっているため、怖いというよりは切ないといった印象を受ける。怪異が本当にあるか?ぬいぐるみの声は?等と言った箇所が朦朧としているため、派手な恐怖こそ無いものの子供持つ不安定な不安が前面に出ている感じ。キングの影響下で書かれたというのは納得です。個人的には超心理的なものであれサイコものであれもう少し恐怖を前面に出した方が好みでしたが。2025/05/20
ままこ
66
悪い人は死んでしまえ。あまりの理不尽さに小学4年の「あたし」はこう願う。クマのぬいぐるみだけが信じられどんな時も手放せない。意地悪同級生の大怪我。不仲な両親の事故死。母親の親友だった裕子さんに引き取られることになり…。ホラーなのか?という気もするけど、最後までよく読むと確かにある意味ホラー。サイコも入ってる。裕子さんのあの綺麗事ではない言葉は「あたし」を救う。読む人選ぶ素子節が冴えわたる。少女の繊細な内面を軸に描かれた、温かみのあるファンタジックな守護クマホラー。【書店員さん発掘本】2025/07/25
カブ
45
帯に「今読むべきホラー小説、待望の復刊!」それじゃ、読まなくっちゃ!読んだ感じホラーというよりメルヘン?子どもの考えることは正直でストレートだから怖い。今はちょっと変わった子が沢山いるので、ぬいぐるみを離せない成美も、そんな子いるよなぁ~と思いながら読了です。2025/02/20