出版社内容情報
感受性を全開にして読んでもらえば、おのずから分かる――。ブラックユーモア、思いがけない結末、現実を溶かしていく夢の世界。短篇の名手による、研ぎ澄まされたミクロコスモス。一九六一年の「肥った客」から八二年の「夢の車輪」連作まで、掌篇五十篇を年代順に初集成。文庫オリジナル。〈解説〉荒川洋治
内容説明
感受性を全開にして読んでもらえば、おのずから分かる―。ブラックユーモア、思いがけない結末、現実を溶かしていく夢の世界。短篇の名手による、研ぎ澄まされたミクロコスモス。一九六一年の「肥った客」から八二年の「夢の車輪」連作まで、掌篇小説五十篇を年代順に初集成。文庫オリジナル。
著者等紹介
吉行淳之介[ヨシユキジュンノスケ]
大正13年(1924)、岡山市に生まれ、二歳のとき東京に移る。麻布中学から旧制静岡高校に入学。昭和19年(1944)9月、岡山連隊に入営するが気管支喘息のため四日で帰郷。20年東大英文科に入学。大学時代より「新思潮」「世代」等の同人となり小説を書く。大学を中退してしばらく「モダン日本」の記者となる。29年に「驟雨」で第三十一回芥川賞を受賞。45年には『暗室』で第六回谷崎潤一郎賞を受賞する。平成6年(1994)死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がんもどき
7
掌編、ということで夢か現実か曖昧模糊とした話が多かったように感じる。夢、それもスッキリしない夢のようなものがほとんどだったように感じた。病気がちだった著者の見る夢にはこういう味わいのものが多かったということだろうか?2024/08/28
sputnik|jiu
5
「夢の皮が厚くかぶさり、夢の膜の中で、身もだえをつづけている」 これは「謎」の中の一文だが、不条理であったり、理不尽な条理であったりに支配された夢(のような現実、のような夢)の中で、作中人物はひたすら煩悶し続ける。 描かれる歪な光景や会話は、いずれもおそらく吉行のなんらかのパラノイアを投射しているんだろうが、これらはどこか懐かしさを感じる、馴染みのある不安だ。2024/05/12
ももや
3
せいぜい原稿用紙10枚くらいまでの、掌編ばかりを執筆した時代順に並べた作品集。統一感はあまりなし。夢の話が多く、脚色したりせずにそのまんまを描いているイメージ。東京駅構内の本屋で見つけて、なんでこんな地味な本がこんなにぎやかな本屋の平台に並んでいるんだろう、と感じて入手。購入後著者来歴を見て発見、今年生誕100年だ。なかなかやるな、ブックコンパス2024/02/27
OHNO Hiroshi
2
ここに収められた「眼鏡の女」が使用した物とは、違います。2024/02/24
あーしぇ
1
読了記録(2024/4/15) 吉行淳之介の50の掌篇を収めた作品集。湿り気の高い夢を題材として扱ったものが多く、個々の作品としての完成度もさすがに高い。作品の制作年代順に並べたオムニバスではあるものの、この本全体を通して(文庫オリジナル編集ではあるが)、妄想溢れる大きなひとつの邯鄲の夢のようにも感じる。 個人的にはややグロい「あいびき」とかが好きかなー。2024/04/15
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- PAUL GONEZ