出版社内容情報
日本における植物分類学の祖・牧野富太郎の最初のエッセイ集。初刊は昭和11年(1936)。執筆時期は内容から察して明治(日露戦争前後)から昭和初期。牧野富太郎ならではの、軽妙洒脱な文体、気取らない表現、語り口で、植物の魅力を縦横に綴る。
以下、本文より。
「私は植物の愛人としてこの世に生れ来たように感じます。或いは草木の精かも知れんと自分で自分を疑います。ハハハハ、私は飯よりも女よりも好きなものは植物ですが然しその好きになった動機というものは実の所そこに何にもありません。つまり生れながらに好きであったのです。」
「私は来る年も来る年も左の手では貧乏と戦い右の手では学問と戦いました、その際そんなに貧乏していても一時もその学問と離れなく又そう気を腐らかさずに研究を続けて居れたのは植物がとても好きであったからです。気のクシャクシャした時でもこれに対するともう何もかも忘れて居ます。」
「私はまた草木に愛を持つことによって人間愛を養うことが出来得ると確信して疑わぬのである、もしも私が日蓮ほどの偉らい物であったなら、きっと私は草木を本尊とする宗教を樹立して見せることが出来ると思っている。」
内容説明
「私は植物の愛人としてこの世に生れきたように感じます。あるいは草木の精かも知れんと自分で自分を疑います」。日本における植物分類学の祖・牧野富太郎の最初のエッセイ集。初刊は昭和十一年(一九三六)。牧野ならではの、軽妙洒脱な文体、気取らない表現、語り口で、植物の魅力を縦横に綴る。
目次
植物と心中する男
ウキクサ・マコモ
アケビ
ちょっと『大言海』を覗いてみる
日本のえびねについて述ぶ
わが植物園の植物
満洲国皇室の御紋章と蘭
稀有珍奇なる二種の蘭科植物
本邦産蘭科植物の一稀品ひめとけらん
本邦稀有植物の一なるこやすのき〔ほか〕
著者等紹介
牧野富太郎[マキノトミタロウ]
1862(文久2)年土佐国(高知県)生まれ。理学博士。日本学士院会員。東大講師。小学校を中退し、様々な苦難の中で独学で植物学を志す。東京大学教授・矢田部良吉に認められ、理学部植物学教室で研究、同大学助手、講師を務める間に全国の植物の採集調査を続けて多数の新種を発見。植物分類学の世界的権威となった。新種一〇〇〇種、新変種一五〇〇種以上の日本植物を命名し、採取した標本は六〇万点に及ぶ。『植物学雑誌』『植物研究雑誌』を創刊。名誉都民第一号、第一回の文化功労者に選ばれた。1957(昭和32)年九十四歳で死去。没後文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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榊原 香織
狐狸窟彦兵衛
QP