出版社内容情報
「いいか、島でのこと、だれにも話してはいけない」
海の民の少年オトガイは、父から代々伝わる役目を引き継ぐ。
山の民の少女マダラコは、生贄の儀式から逃れて山を下りる。
死を知らぬ海の民イソベリ、死を弔う山の民ヤマノベ。
二つが出会い、すべてが始まる。これは、対立の運命を背負わされた海族と山族の神話を描く、原始の物語。
〈巻末座談会〉「八作家が語る、〈螺旋プロジェクト〉のいままで」を収録。
内容説明
「いいか、島でのこと、だれにも話してはいけない」海の民の少年オトガイは、父から代々伝わる役目を引き継ぐ。山の民の少女マダラコは、生贄の儀式から逃れて山を下りる。死を知らぬ海の民イソベリ、死を弔う山の民ヤマノベ。二つが出会い、新たな命と、神話が生まれる。すべてが始まる原始の物語。巻末座談会・“螺旋プロジェクト”のいままで。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
261
螺旋プロジェクト開幕。原始の『ウナノハテノガタ』から。独特の雰囲気を演出するのに一役買っているけれどもね。人名を含む固有名詞が、又は一部の一般名詞なんか迄も独特のカタカナ語で書かれていて、憶えるのが辛いよ。一般名詞は日本語に幾らかは寄った感じにはなってはいますが。何が書かれているのか迷子に。せめて登場人物は一覧が欲しかった。慣れるまでメモりながら読む事になりましたよ。海の民イソベリと山の民ヤマノベ、全く別に育った文化が此処で初めて出会い、始動するのですね。この後どう進んで行くのやら。【螺旋プロジェクト🧬】2024/12/18
みこ
58
螺旋プロジェクト原始時代編。生贄の運命から逃れようとした山族の女性が海族の集落まで逃げ延び、そこで一人の少年と出会う。こういう企画でもなければこの時代の小説を読む機械などなかっただろう。読み手の我々からは想像を絶するような習慣や風俗、その中で少年の心の成長を描く。ヒロインが妊婦のためボーイミーツガールの要素はなかったが、縛りのあるボキャブラリーでしっかり王道のエンタメに仕上がっていることに感心させられる。時間軸では最初の話だがエピソードゼロの要素が強いのでこれから読み始めることはお勧めしない。2023/01/01
まあか
56
原始時代のストーリーを読むのは、多分、人生初。とても新鮮。言葉も確立していない時代なので、現代とは異なる言語が使われている。そのため、最初のうちは、とっつきにくさがあったが、慣れてくると面白かった!このストーリーがこれからどう繋がっていくのか!?とても楽しみ♡あと7冊、じっくり楽しみます。2022/12/12
piro
39
古代のとある海辺、イソベリ(海族)とヤマノベ(山族)の対立と共に、原始的な死生観、宗教感が描かれる作品。異なる世界観を持つ部族が交わる時、そこに争いが起きてしまう悲しさ。そして旧来の風習がもたらす部族の閉塞感。描かれる具体的な出来事は古代のものですが、現代でもその根源は変わらない様に感じます。それだけ人間にとって普遍的な課題なのか、あるいは進歩が無いのか。それでもオトガイやマダラコの様に新しい世界観の萌芽を感じさせる人物がいれば希望は消えない。プリミティブながらとても重く難解なテーマを抱えた作品でした。2024/01/28
神太郎
37
なかなか難しい時代設定だったと思うし、自由に描けたのかなと思うし。海族と山族は決してウマが合わないというわけではなく、拗れたときにその影響が大きすぎるから、結局は合わないほうが…ってことなんでしょうかねー。オトガイとマダラコも決していがみ合う関係ではなく、最後は手を取り合えていける気もする。この時代は見えてる世界がする全て。だから習俗の違いが仲違いの原因となる。でも、文化の違いが…っていう一見小さい火種が大きな火種になるのは現実的だ。2023/01/27
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