出版社内容情報
うぽっぽ――暢気者、うっかり者という意味の綽名をつけられ、ただひたすら町じゅうを歩き回る、臨時廻り同心の長尾勘兵衛。目こぼし料を受けとらず、野心の欠片もないが、人知れぬところで今日も江戸の無理難題を小粋に裁く。シリーズ第1作!
内容説明
眉間の黒子に、福々しい頬。暢気に歩きまわる姿から“うぽっぽ”とよばれる、臨時廻り同心の長尾勘兵衛。目こぼし料を受けとらず、野心の欠片もないが、人知れぬところで江戸の無理難題を小粋に裁く。「人が悪に染まるにゃ、それなりの理由がある。おれはよ、その理由ってのが知りてえんだ」―。情けが身に沁みる、傑作捕物帳シリーズ第一弾!
著者等紹介
坂岡真[サカオカシン]
1961年、新潟県生まれ。十一年の会社勤めを経て文筆の世界へ入る。江戸の情緒と人情の機微、そして花鳥風月を醸し出す筆致で、多くの読者を魅了している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
96
このシリーズは、主人公がもう少し年を重ねた、「終活指南」の数冊を読んで楽しめたので最初から読もうと思い手に取りました。最初としても主人公の年齢は52歳で臨時廻り同心です。20年前にすでに妻が失踪して(終活指南では記憶をなくして戻ってきています)、独り身で娘(まだ未婚)とともに暮らしています。4つの短篇が収められていて、今後出てくる人物が勢ぞろいしています。人が悪に染められた経緯を知りたいということで、その原因を探っていきます。2025/01/07
もんらっしぇ
87
信頼できる読友さんのレビューを拝見して早速の試し読み。(今まではお名前を時々拝見するするだけの中堅どころの男性時代小説家さん)「うぽっぽ同心」?ユーモア時代捕物帳? さて何のことかと思って調べてみると…「うぽっぽ」とは、アイヌ語で「歌うこと」を意味する「ウポポイ」の愛称。江戸時代から使われている言葉で、のん気でうっかりした人を指す言葉だそうな。本作の場合周りからは疎まれ小馬鹿にされてついた綽名のようです。主人公・長尾勘兵衛は年齢五十二。南町奉行所の定廻りを三十年、今は臨時廻り。→ 2025/05/09
やも
86
面白い!定廻りのうぽっぽがお江戸ミステリーを一件落着させる中編4話。人を裁くだけが仕事じゃない、窮地に立つ者を救ってこそがモットーのうぽっぽ。第一印象、なんとなく寅さんみたいって思ったな。どの話にも不幸せな女が出てくるけど、うぽっぽほっとけない。そんな所も寅さんみたい😁全てがまるっと解決ハッピーハッピーじゃなくて、これしか落とし所はないよ、分かっておやりよ。ってカンジの一件落着っぷりにじじじーん。行きつけ居酒屋のおふうとの会話もいい!この話、嫌いな人いないんじゃないかな〜🤔✨★52022/12/01
タイ子
83
読友さんのレビューに惹かれて読んでみた。読んでみたらこれが予想以上の面白さ。そもそもうぽっぽって何だ?定廻り同心が町中を暢気に歩き回る姿を言うらしい。主人公の同心・長尾勘兵衛は一見昼行燈みたいなイメージだが、強気をくじき弱気を助ける頼りになる男。20年前に妻に逃げられ未だ行方知れず。娘は素直に育ち同居する医者の手伝いなぞしている。刀を抜かないので剣はからっしきダメなのかと思いきや後半ですさまじい姿を見せてくれる。きゃっ、カッコいい!物語も笑わせ、時に泣かせる人情もの。こうなったら既刊本追いかけよう。2023/04/23
みゆ
73
初読み作家さん。「うぽっぽ」の響きにコミカル人情物と予想して読んでみたら意外にシリアス。野心も欲も無く、吞気に江戸市中を歩き回る姿から「うぽっぽ」と呼ばれる同心・勘兵衛。その実の姿は切れ者で密命を受け悪を正す。必殺の中村主水ほどダークではないけれど、かなり際どい事までやっちゃいます(^-^; 新しいヒーロー登場♪ シリーズ追っかけます('∇^d)☆!! 2023/04/28