出版社内容情報
バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。(「シーソーモンスター」)
アナログに回帰した近未来。配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけに、ある事件に巻き込まれ、因縁の相手檜山に追われる。(「スピンモンスター」)
時空を超えて繋がる二つの物語。「運命」は、変えることができるのか――。
内容説明
バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。アナログに回帰した近未来。配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけに、ある事件に巻き込まれ、因縁の相手桧山に追われる。時空を超えて繋がる二つの物語。「運命」は、変えることができるのか―。創作秘話を明かすあとがき収録。
著者等紹介
伊坂幸太郎[イサカコウタロウ]
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒。2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。04年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で日本推理作家協会賞(短編部門)、08年『ゴールデンスランバー』で本屋大賞と山本周五郎賞、14年『マリアビートル』で大学読書人大賞、20年『逆ソクラテス』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
255
螺旋プロジェクト第7弾『スピンモンスター』編。時代順に読みたい欲に任せて『シーソーモンスター』→朝井リョウ著『死にがいを求めて生きているの』→『スピンモンスター』と読みました。『シーソー〜』のラストの方で出てきたアイテムが『死にがい〜』でもここでもキーアイテムとなっていて、順番に読んでムフフでした。後半戦も舞台、主人公を変えてのサスペンス調。近未来の話なのでAIが重要度を増していますね。伊坂さんの描くAIの未来像も面白くはありますが、儂自身の思う所もあるのだけれども。紙幅が。【螺旋プロジェクト🧬】2025/04/05
五右衛門
212
読了。久しぶりにのめり込めました。やっぱりいい。前半綿貫さんが出てきていつからいい者になった?って思っていたらやっぱり悪かった。後半の近未来物語では絵本作家になられていた彼女の登場からのあの強さ。久しぶりに伊坂風味を味わいました。過去も未来も人間の感情は本当に大事だ❗と改めて教えて貰った気がしました。他の螺旋シリーズも読みたいです。2022/11/11
イアン
196
★★★★★☆☆☆☆☆「螺旋プロジェクト」にぶら下がる中編集。昭和後期、元諜報部員の宮子は義母の周りに不審死が相次いでいることに疑念を抱き…(「表題作」)。冷戦と嫁姑問題を重ねた「シーソーモンスター」と、近未来に身に覚えのない容疑で国家に追われる「スピンモンスター」の2編から構成される。前者は殺し屋が恐妻家という設定をコミカルに描いた『AX』を、後者は権力からの逃亡劇を描いた『ゴールデンスランバー』を彷彿とさせる。「事実と真実は異なる」という格言は、フェイクが溢れる現代に対する伊坂流の警鐘なのかもしれない。2024/02/20
ほんた
174
嫁姑の問題が意外な結末に。直人の嫁の宮子と,母親のセツに対する先入観で,最後は完全に騙されました。 https://hontablog.com/シーソーモンスター2023/09/29
速読おやじ
163
八人の作家が三つの共通ルールでそれぞれに違う時代を描く螺旋プロジェクト。本作品では中編が二つで、それぞれバブル期と近未来を描く。プロジェクトという事を意識しなくとも滅法面白い。近未来編のスピンモンスターでは、人工知能によって知らぬ間に全てが監視されるというディストピア世界が舞台だ。テクノロジーが半端なく進化するとこうなるのかと恐ろしくもあるが、いやいやホントに近未来では実現してそうだ。さて、対立する海族と山族とは?これは、他の螺旋プロジェクトの作品も俄然読みたくなった^ ^2023/01/28