出版社内容情報
名家の生き残りエミリーの死後、邸宅に残されていたものとは――ミステリの古典にも数えられる表題作、「あの夕陽」「ウォッシュ」など架空の町ジェファースンを舞台にした〈ヨクナパトウファ・サーガ〉の短篇全七篇。巻末に中上健次の講演「フォークナー衝撃」他一篇を収録。 〈解説〉高橋正雄
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フリウリ
11
収載されている短編はほぼ「ポータブル・フォークナー」と重なっています。問題は、巻末の中上健次によるフォークナーに関する講演再録です。例えば、フォークナーが「南」の文学の創始者であること、南=繁茂のメタファーとしてのスイカズラ(中上のタチアオイ)、コミュニティを作りも壊しもする「うわさ話」の語りと人称のポリフォニー、そして、見られる人-見る人-見られる人の三者構造による視線のポリフォニーなど、とても重要なことを語っていて、すぐれた作家ならではの、「創作」につながる奥深い読みに、感銘を受けました。82023/07/21
tyfk
7
マルケスやトニモリスン とかに与えた影響という点では、長編より短編の方が手法のあれこれがわかりやすいし、「噂」について語ってる中上健次の解説もよい2024/08/01
azuno
3
小川洋子さんのFMの読書番組で取り上げていて、はっきりは仰らなかったのだが大体ネタバレしていて、かえって気になったので図書館で検索した。当地の図書館にはあまり蔵書が無くかえって世界文学全集(集英社版)がヒットしたので 図書館でこの話だけ一読した。古い全集物もなかなか趣がある。初フォクナーだったので、この中公文庫の欄に記録させてもらう。読みやすく気品ある文章だった。(訳もいいんだろうね。)機会があれば他の作品もあたろう。2022/09/28
十文字
2
どれもフォークナーらしい短編なのだけど、訳がちょっと古いかな。最近出版された『ポータブル・フォークナー』は本書と収録作品の多くが被ってて、全部新訳だった。巻末にある中上健次の講演も良い。2022/09/20
stray sheep
1
既読の龍口訳とはずいぶん趣が違ったように思う どちらかというとこちらの訳の方が好みか(時代性もありそうだけれど)2025/01/22
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