出版社内容情報
「私は今、六十五才の老人であるが、いきものに対しては子供と同じように興味を持っている」。〝小説の神様〟志賀直哉が生涯見つめ続けた子どもと生きもの。それらの短篇を集めた『日曜日』『蜻蛉』を合本とし、網野菊「先生と生きもの」を付す。〈解説〉阿部公彦
内容説明
“小説の神様”志賀直哉は、生きものや子どもを好んで書いた。写実に徹した描写が何気ない小さな姿に新鮮な輪郭を与え、世代を問わず親しめる普遍的な名品となって多く生み出された。それらの短篇を集めた『日曜日』『蜻蛉』を合本とし二十四篇を収録。巻末に網野菊「先生と生きもの」を付す。
著者等紹介
志賀直哉[シガナオヤ]
1883(明治16)年生まれ。学習院高等科卒業、東京帝国大学国文科中退。在学中に武者小路実篤、有島武郎、柳宗悦らと同人雑誌「白樺」を創刊。1949(昭和24)年、文化勲章受章。71(昭和46)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りんだりん
16
小さな頃縁側に座って、蟻が虫の死骸に群がり、踏み石の下に作っている巣に向って真っ直ぐに列をなして戦利品を持ち帰っている姿を飽きもせずにずっと眺めていたのを思い出す。そして、台所から砂糖粒を持ってきて「さあ、今日は宴だぞ」とばからりに巣の近くにこんもり盛って、今度はその砂糖に群がる蟻をみて一人悦に入っていたことも。 大人になるとそういう機会が失われる。いや、本当は目の前に転がっているのだが、それに気づいたり、立ち止まったりする余裕がないのだろう。 この小説はそれに近いことを追体験させてもらえる。★42022/02/14
ポメ子
7
志賀直哉の子供や、動物を主に題材にした短編集。有名な「小僧の神様」は、意外に短かったが、良い話で、内容も分かって良かった。「城の崎にて」は考えさせられた。動物の描写は、可哀想で読みづらいものが何編かあった。2022/06/28
門哉 彗遙
3
志賀直哉の周りにはいつもいきものが溢れている。蟋蟀、蝗、蟷螂、蛇、鼠、雀、山鳩、百舌鳥、栗鼠、兎、猫、犬、熊たちをすぐに手懐けてしまう。といっても芸を仕込むわけでもなく、彼の周囲で自由に自然にさせているだけで、決して固執することもなく、去る者は追わず、いや去る生き物は追わずという感じだ。まるで手塚マンガに出てくるみたいな人だ。この本にたくさんの生き物が出てくる。2025/03/27
フリウリ
3
久しぶりに「城の崎にて」を読んだ。自分が死にそうになってからの死への洞察やら、他著への言及などがあって、めっちゃ難解な小説だと思った。「私小説」的に屈託を描いてはいるが、「死」という、ある意味で最も一般的な事象が屈託の対象なので、話が卑小にならない。子ども、動物、植物などの対象を取り上げることも、かえってなにか「精神の高さ」的なものが感じられてしまう。加えて、どんな作品も、最後の一節、キメの一言が妙に決まっている。なんとなく高潔。それは「小説の神様」ゆえですか。72022/12/22
katashin86
2
城崎温泉で「城の崎にて」を読みたくて、ほぼ再読と知りつつこちらの短編集を改めて購入。自分の子供のことを描いた小品がならんだあと、自分の子ども時代を回想する「母の死と新しい母」が強く印象に残った。2023/04/09
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