出版社内容情報
数学が人間からかけ離れた絶対的な真理であるという思想、あるいは神が数学を創り人間に与えたとする神話は、古代から現代まで姿をかえてたえず登場してきた。だが、すでにできあがった数学を天下り式に子供に注入する教え方は、数学をつまらなくさせてはいないか? 人類と数学の出会いから今日の数学理論に至る発達史や、初等教育における分数の計算や数の抽象化の難しさなどを平明に語り、自然や人の営みと数学の関わりを説き明かす。
「数学には甘い菓子のようなおいしさはない。しかし、暑いときに飲む冷い真水のようなうまさはある」と語る著者の業績は、数学的側面だけでなく数学教育から障害者教育まで幅広く、かつ、学問・科学・芸術に対する深い造詣と、そこから教育や人間を捉える真摯な洞察に満ちている。本書は、50年代半ばから70年代前半に発表された、数学と文化について語った文章を集めたもので、著者の思想と、数学の面白さや奥深さを知る格好の入門書となっている。「数学勉強法」「数学と社会も変わった」の二篇を増補し、吉本隆明の追悼文を再録。
【目次より】
Ⅰ 数学はあらゆる分野に浸透する
これからの社会と数学
数学と現代文化
専門の違った人たちとダベってみる その一
専門の違った人たちとダベってみる その二
Ⅱ 数学はどんな学問か
数学は単純で素直である
数学は特殊な言語である
数学は学問的に孤立する危険をもつ
数学も時代の支配的イデオロギーに規定される
数学は自然や社会を反映する客観的知識
数学も人間を形成する
数学はほんとうに論理的か
数学と方法
数学の発展のために
Ⅲ 数学はどう発展したか
数学の歴史的発展
現代数学の主役=構造とはなにか
構想力の解放
Ⅳ 科学を学んでいくために
科学への道――女性に与う三つの原則
数学勉強法
数学も社会も変わった
あとがき
巻末エッセイ
遠山啓――西日のあたる教場の記憶(吉本隆明)
内容説明
人類と数学の出会いから今日の数学理論に至る発達史や、初等教育における分数の計算や数の抽象化の難しさなどを平明に語り、自然や人の営みと数学の関わりを説き明かす。数学教育から障害児教育まで幅広く手がけた著者の思想と、数学の面白さを知る格好の入門書。「数学勉強法」「数学と社会も変わった」の二篇を増補。
目次
1 数学はあらゆる分野に浸透する(これからの社会と数学;数学と現代文化 ほか)
2 数学はどんな学問か(数学は単純で素直である;数学は特殊な言語である ほか)
3 数学はどう発展したか(数学の歴史的発展;現代数学の主役=構造とはなにか ほか)
4 科学を学んでいくために(科学への道―女性に与う三つの原則;数学勉強法 ほか)
著者等紹介
遠山啓[トオヤマヒラク]
1909年、熊本県生まれ。東北大学数学科卒。東京工業大学名誉教授。51年に数学教育協議会を結成。「量の体系」「水道方式」などの画期的な理論を提唱し、数学教育の改革運動をおこす。59年、『数学入門』で毎日出版文化賞を受賞。62年より『数学セミナー』編集代表。60年代後半から障害児教育の研究に取り組み、障害児に教科教育の道を拓く。73年、教育の全般的な改革をめざして月刊誌『ひと』を創刊、編集代表となり、教育市民運動の中心として分野や世代を超えて多くの人びとに影響を与えた。79年9月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
オザマチ
オザマチ
オザマチ
かっさん