出版社内容情報
妊娠中の妻と2歳の娘を少年たちに凌辱の末惨殺された恭介は、犯人の少年たちを切り刻み、それを撮影したDVDを犯人宅に送りつけた。しかしそれは復讐ではなかった。妻子の殺され方が美しくないことへの憤りだった。恭介にとって人間の死体は至福の「芸術品」であるべきなのだ。23年前、キスした姿の少年と少女の生首写真が被害者宅に届けられる事件があった。ご丁寧にもその写真には「ファースト・キス」というタイトルまで付けられていた。事件は迷宮入りし、警視庁の名倉警部は今でもその屈辱を胸に抱いているが、その犯人こそ当時中学生の恭介であった……。新堂冬樹史上、読者が最も嫌悪する最悪の小説。
内容説明
少年の首や手足を切断している動画を家族や友人に送りつける事件が続発。被害少年たちは数日前に妊婦と幼女を陵辱の末殺害していたが、遺族の復讐なのか?警視庁の名倉警部には二十三年前の猟奇殺人が蘇る。キスさせた少年と少女の生首写真を被害者宅に届けた男。当時あいつは中学生だった。未解決事件の屈辱と怒りを胸に名倉の捜査が始まる。
著者等紹介
新堂冬樹[シンドウフユキ]
大阪生まれ。金融会社勤務、コンサルタント業を経て、1998年「血塗られた神話」で第七回メフィスト賞を受賞し作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumimiy
33
白冬樹は気味が悪いほどの純愛で嘘っぽい。黒冬樹はこれでもかって悪魔っぽい。本書は真っ黒冬樹の狂気作話だが、一概に狂ってるとは言えない。これから先は妊婦さんや子育て中の方は読まないで!絶対だよ。日本で起きた猟奇事件の中で驚愕したのは、臨月の妊婦の腹を割き胎児を取り出し、代わりに電話機を収めた。という事件があり未解決だ。次に座間事件、八人の女性自殺志願者+男、計九人を捌いたS、これにも仰天😓最近では精神科医一家が…。なんだろうね、人間って。「健全な身体に宿る健全な精神」っていうが、実はそんなに単純ではない。2023/08/10
やんちゃジジイ
29
殺人依存症の100倍グロテスクだった2021/09/23
四弦桜
18
これは凄い…目を覆いたくなるような描写のオンパレード。 グロいとか言うレベルではない。 人にはすすめられない小説は初めてだ。 でも、先が気になりページを捲る手が止まらなかった。 初めての黒新堂、堪能させてもらいました。2022/10/22
じーつー
16
刑事名倉vs猟奇殺人者恭介vs鬼畜少年篠原。 三すくみの構図、いや、猟奇殺人者が強すぎる。 冒頭のシーンは鬼畜少年の独壇場。 まずこの時点で読むことを躊躇するレベルのグロテスク。 篠原が手にかけたのは恭介の嫁と子ども。 それを知って復讐を図る恭介だけど、その理由がサイコでしかない。 「大切な人を殺されたから」ではなく、「質の低い殺し=芸術を見せられたから」って。 そして恭介の芸術を誇示するために選ばれたのが篠原と名倉の嫁。 鬼畜とかはしょうがないとして、何の罪もない人が地獄を見ることになるのは辛すぎる。2021/09/28
saiikitogohu
5
「猟奇殺人者VS鬼畜少年VS警視庁」とか帯に書くから、サイコパスどうしでめっちゃ頭脳戦が繰り広げられるのを期待したら、そうでもなかった。基本は「猟奇殺人者」が一方的に蹂躙する話なのだけど、ちょっとあまりこの人のサイコパスみに魅力がないから、早く死んでほしくなってしまう。あと“芸術家”設定どうなんだろ?作る作品のコンセプトが陳腐すぎるのだけど、この「滑ってる感」あるキャラ造形上あえてやってるだろうか。作品名で『鬼畜と聖母』とかAVみたいだし、『ファーストキス』とかJ-POPみたいだし。2022/03/06