出版社内容情報
【壇蜜さん推薦!】
「時に奔放、時に貞淑。今も昔も、女はしたたかで刺激的な生き物なんです。」
井の頭公園で〈秘密の結婚〉に及ぶ照子、道ならぬ恋に胸を焦がす寿美子、結婚後に夫の秘め事を知る桂子。女学校の仲良し三人組の波瀾に満ちた恋愛と結婚、そして受難の果てに訪れる悟りとは――。大正末期に婦人誌で連載されて絶大な人気を博した、『真珠夫人』と並ぶ代表作。〈解説〉酒井順子
内容説明
井の頭公園で“秘密の結婚”をする照子、道ならぬ恋に胸を焦がす寿美子、結婚後に夫の秘め事を知る桂子。女学校の仲良し三人組の恋愛と結婚に、思いもよらぬ試練が次々とふりかかる―。怒涛の昼ドラ的展開で読者を魅了し絶大な人気を博した、『真珠夫人』をしのぐ大正エンターテインメントの傑作。
著者等紹介
菊池寛[キクチカン]
1888年(明治21)香川県生まれ。本名・寛(ひろし)。第一高等学校を中退後、京都帝国大学英文科へ。芥川龍之介、久米正雄らと第三次、第四次『新思潮』に参加。京大を卒業後、時事新報社に勤務するかわたら小説を発表、『無名作家の日記』『忠直卿行状記』『恩讐の彼方に』などで世評を得る。1920年(大正9)に発表した『真珠夫人』が成功をおさめ、以後、数多くの通俗小説を発表。雑誌『文藝春秋』の創刊、文藝家協会の設立、芥川賞・直木賞の創設、映画事業への参画など、多方面に活躍した。1948年(昭和23)死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sofia
32
『菊池寛全集』(菊池寛記念館)を底本とし2021年発行で本自体が新しく表紙もいい感じ。話の内容も古い価値観ではあるものの、大正時代の連載ながら現代でも通用する内容。(菊池寛の顔からこんな女性の気持ちを描いたおもしろいエンタメ作品が想像できない笑)2023/10/27
ねなにょ
18
女学校の仲良し3人組、照子、寿美子、桂子は、素敵な恋愛と幸せな結婚生活を夢見ていたけれど、彼女たちを待ち受けていたのは、愛の『受難』の数々。 1925年~1926年の作品ということで、多少の読みづらさや感情移入しにくい部分もあるけれど、それを差し引いても、現代にも通じるメロドラマ的展開を楽しめました。 2024/02/15
駄目男
17
菊池寛に関しては縷々述べたいこともあるが、文字数の限定もあるのでそうもいかない。だだ、芥川の自殺を食い止めることが出来た唯一の人物だったと思っている。扨て、本書だが、通俗小説といって侮るなかれで、「真珠夫人」もそうだが、これが結構面白い。本書の場合は三人の女学生が全員結婚したら再会して新婚生活について語り合うという約束だったが、その後の波乱に富んだ恋愛経験など、なかなか集まることの出来ない事情と経過を描く面白小説で、絶版状態で知られていないものがあれば、どんどん復刊して欲しいものだ。2021/03/05
たけはる
12
表紙と帯に惹かれて購入。おもしろかった!『細雪』などもそうですが、この時代独特のノーブルさというか上流階級の人々の暮らしってロマンがあります。三組の男女がそれぞれの結婚、夫婦の危機を乗り越えてゆく話ですが、いずれも畢竟、男性側が女性に負けてるのが印象的でした。当時の感覚としてはどうなんでしょうね?実際、男性の心の中ではこうだったのか、物語の上だけでの関係性なのか。とくに林健一×寿美子夫妻は完全にかかあ天下。⇒2021/09/09
いづむ
11
書店でたまたま目にとまって買って大正解!1920年代に書かれていながら、私の2021年のベスト3に入る最高のエンタメ小説でした。当時の恋愛観や常識はもちろん現在と違うけれど、恋愛や結婚にまつわる駆け引きや気持ちの動きはたぶん同じ。それが古風にドラマチックに描かれていておかしいやらしんみりするやら、当事者のようにやきもきしながら一気読み。何より最後がニクい。菊池寛の偉大さを再認識しました。大正レトロが好きな人にも強烈おすすめ。2021/12/20