出版社内容情報
「なぜもっと早くいらっしゃらない?」
廃墟に響いた幽霊の声――
100年前、「田園の憂鬱」で一躍文壇に躍り出ながら、極度の神経衰弱に陥った佐藤春夫は台湾へと旅立つ。そこで目にしたもの、感じたものは、作家の創造力を大いに刺激した。台湾でブームを呼ぶ表題作など、台湾旅行に想を得た、今こそ新しい9篇。ミステリーあり、童話あり。異国情緒のなかに植民地への公平なまなざしと罪の意識がにじむ。文豪・佐藤春夫評価に一石を投じる文庫オリジナル企画。
収録作
「女誡扇綺譚」
「鷹爪花」
「蝗の大旅行」
「旅びと」
「霧社」
「殖民地の旅」
「魔鳥」
「奇談」
「かの一夏の記」
内容説明
一九二〇年六月、新進作家佐藤春夫は日本の植民地だった台湾へと旅立った。この旅行が転機となり、以後二〇年にわたって、台湾に想を得た作品が生まれる。台南の廃屋を舞台としたミステリー『女誡扇綺譚』、一九三〇年の「霧社事件」を予感させる『霧社』など、台湾でも評価の高まる九篇。
著者等紹介
佐藤春夫[サトウハルオ]
1892(明治25)年和歌山県東牟婁郡新宮町(現・新宮市)に生まれる。1910年上京後、与謝野寛・生田長江に師事。また永井荷風に学び、慶應義塾大学在籍中から「スバル」「三田文学」で詩歌と評論に早熟の才を示した。1918(大正7)年、谷崎潤一郎の推挙により文壇に登場。青春の憂愁を詠う『田園の憂鬱』や、探偵小説『指紋』、ユートピア小説『美しき町』など、洒脱なロマンに独自の作風を示し、新進流行作家となった。1935(昭和10)年より芥川賞の初代選考委員を務め、戦中・戦後にわたって長く文壇で重きをなした。著作は、詩歌から小説、戯曲、評伝、童話など多岐にわたる。1964年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
Shun
ワッピー
あたびー
えも