出版社内容情報
えっ、その責任おれがとるの!?
仕事と、家庭と、世の中と――戦う男の本分とは。
司馬遼太郎賞・中央公論文芸賞受賞。
『一路』『流人道中記』の浅田次郎が贈る、笑って泣ける傑作時代小説。
婿養子が公金を持ち出し失踪。不祥事の責任を取りお家を守るため、妻子や部下に「お腹召しませ」とせっつかれる高津又兵衛が、最後に下した決断とは……。武士の本義が薄れた幕末期。あふれ出す男の悩みを、侍たちはどう乗り越えたのか。表題作ほか全六篇。
内容説明
婿養子が公金を持ち出し失踪。不祥事の責任を取りお家を守るため、妻子に「お腹召しませ」とせっつかれる高津又兵衛が、最後に下した決断とは…。武士の本義が薄れた幕末期。男としての正念場を、侍たちはどう乗り越えたのか。表題作ほか全六篇に書き下ろしエッセイを特別収録。司馬遼太郎賞・中央公論文芸賞受賞作。
著者等紹介
浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞を受賞、16年『帰郷』で大佛次郎賞、19年菊池寛賞を受賞。15年紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケンイチミズバ
117
切腹に追い込まれるジイサン。しかし、死ぬ理由はない。あると言えば武士だから。奉公人から、お侍である必要はありません、プライドを捨てて人として生きればよいのですと諭される。が、簡単には考え方を変えられない。がんじがらめの武家社会への風刺です。浅田次郎さんの軽妙な語り口で、孫に語り聞かせる江戸話。人々がとても生き生きとしています。とっくにプライドを捨て世俗にまみれた婿養子、藩の公金を持ち出し吉原の女と出奔した彼も次男坊で家督も継げない、仕官もかなわぬ肩身の狭い人生。行いは過ちとは言え、あまりにも人間らしいな。2020/10/08
ちゃとら
53
エッセイから始まる、6篇の江戸末期の話。『お腹召しませ』は娘婿が藩の金に手をつけ女郎と逐電した。隠居した身と言えどお取りつぶしを逃れ孫に家督を譲るには切腹かと悩む又兵衛に女房も娘も「お腹召しませ。」とあっさり言う🤣ちょっと、ビターな大人の男性向けな話だった🙆♀️2022/05/08
AICHAN
42
図書館本。短編集。浅田さんの短編はどれも構成がきっちりしていて素晴らしい。よほど頭の切れる方なのだろう。…と思っていたので期待して読んだのだが、特にこれといった特徴のない短編ばかりで、かなりがっかりした。2020/08/25
kawa
37
幕末維新の動乱に翻弄される徳川の旗本たちを描く短篇集。今の世から見れば喜劇的にも映るところもあるのだが、あの時代の当事者にして見れば真剣事。単純に笑うことはできないし、とにもかくにも生き残って良かったとしか言えない思いも…。コロナ禍の激変の時代も、100年、150年後の世界から見れば喜劇的なことが多々あるのだろう。2020/09/16
ぽろん
33
全6篇の時代劇短編集。軽妙なタッチで、幕末の侍の正念場が描かれている。欲を言えば、お腹召しませは、長編で読みたかったなあ。合間に浅田さんとお祖父さんとの暮らしぶりが語られるのが興味深かった。2021/02/11
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