出版社内容情報
謎だから知りたい。分かりたい。人の心があたため続けている「愛」を――。近代短歌から、生まれたばかりの新鮮な現代短歌まで、五七五七七のリズムで読まれる愛のうた。人間のいとなみのなかで生まれた古今の短歌三〇〇首が、名手の読みときで鮮やかに輝く。
『鼓動のうた 愛と命の名歌集』を改題。
〈巻末対談〉西加奈子
内容説明
謎だから知りたい。分かりたい。人の心があたため続けている「愛」を―。近代短歌から、生まれたばかりの新鮮な現代短歌まで、五七五七七のリズムで詠まれる愛のうた。人間のいとなみのなかで生まれた古今の短歌三〇〇首が、名手の読みときで鮮やかに輝く。
目次
愛の歌(言葉を届ける;鼓膜をふるわせる声;幼子と過ごす時;妻へ、夫へ;夏の恋 ほか)
命の歌(あの日;生まれる、生きる;体の不思議さ;究極の涼しさ;被爆体験 ほか)
著者等紹介
東直子[ヒガシナオコ]
1963年、広島県生まれ。2006年に『長崎くんの指』(文庫『水銀灯が消えるまで』)で小説デビュー。1996年、「草かんむりの訪問者」で第七回歌壇賞、2016年、『いとの森の家』で第三一回坪田譲治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
62
表題どおり愛をテーマにした短歌から、震災を詠んだものまで幅広く紹介されており、気に入りの歌を見つけることができる。愛の歌はとても情緒豊かで、こちらまで染められて揺さぶられる。一首一首に込められた世界を思う存分感じられ、短歌の魅力を享受できるよろこびに酔う。2019/12/22
ピロ麻呂
33
歌人東直子が現代短歌の秀作をテーマ別に紹介。春夏秋冬、出会いと別れ、生と死など、共感する歌が数多く取り上げられています。お気に入りは「君の指がきれいに見えたあの頃は 笑っていれば日が暮れたのに」「傘さして傘をまわして若かりし 母のうしろを長靴はいて」2019/12/25
ポテチ
32
めちゃくちゃよかった!河野裕子さんの歌がやはり感情の重量がすごい。大滝和子さんの歌が古風ですき。でも一番心に残ったすきな歌は爽やかなやつでした。「あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ」「海で洗ったひまわりを贈る 未発見ビタミン的な笑顔のひとに」2020/06/07
ちぇけら
29
心奥の塵が金木犀になる愛してやまない人のいる午後。短歌は愛だ。そして短歌をつくり、短歌を愛する東さんのことばもまた愛だ。短歌について書かれた本は、愛にあふれている。愛とは。命とは。人生を見つめて放たれた三十一音の矢は、誰のこころにも響く抽象的な奥行きがある。井辻朱美の「椰子の葉と象の耳ほどこの星の風が愛したかたちはなかった」、大滝和子の「たれもみな初恋のひと秘めている雑踏という森へ入りゆく」、三枝浩樹の「砂浜は海よりはやく昏れゆけり 伝えんとして口ごもる愛」が、掲載歌のなかでも特にすき。ほんとうにすき。2019/12/26
冬見
16
「あの夏の数かぎりなきそしてまたたつた一つの表情をせよ」「すきなひとがいつでも怖い どの角を曲がってもチキンライスのにおい」「あたらしい朝があなたにくるたびに世界を愛せる空気をあげたい」「冬の夜の星君なりき一つをば云ふにはあらずことごとく皆」「全存在として抱かれるあかときのわれを天上の花と思わむ」好きな歌を並べたらきりがない。恋と命の歌。東さんと西さんの対談も良かった。西東って並んでいるのがちょっとおもしろい。西さんが鎌文で出会った歌は、もしかしてあの歌だろうか。2019/12/21