出版社内容情報
小海線の車窓の眺め、若狭の水、奥津の温泉……。一九七〇年代、荒地の詩人はウィスキーを道連れに日本各地を旅した。連載「ぼくの感情旅行」と雑誌『旅』に掲載された作品を中心にユーモラスな十二の紀行文とエッセイ「ぼくのひとり旅論」を収める。旧版に単行本未収録の北海道紀行を増補。〈解説〉長谷川郁夫
内容説明
小海線の眺め、若狭の水、奥津の温泉…。荒地の詩人は、ウイスキーを道連れに日本各地に旅立った。「ぼくの感情旅行」と雑誌『旅』の作品を中心にユーモラスな十二の紀行とエッセイ「ぼくのひとり旅論」を収める“ニホン酔夢行”。単行本未収録の北海道紀行を増補。
目次
隠岐
若狭―小浜
伊那―飯田・川路温泉
北海道―釧路
奥津
鹿児島
越前―越前町・三国町
越後―新潟
佐久―小海線
東京―浅草
京都
沖縄
ぼくのひとり旅論
著者等紹介
田村隆一[タムラリュウイチ]
1923(大正12)年東京生まれ。詩人。明治大学文芸科卒業。第二次大戦後、鮎川信夫らと「荒地」を創刊。戦後詩の旗手として活躍。詩集『言葉のない世界』で高村光太郎賞、『詩集1946~1976』で無限賞、『奴隷の歓び』で読売文学賞、『ハミングバード』で現代詩人賞を受賞。推理小説の紹介・翻訳でも知られる。1998(平成10)年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
102
詩人、田村隆一氏による日本12ケ所の旅紀行。氏はたいそうお酒が好きで文中にもお酒を呑みながら車中で船中でというシーンも多く出てくる。まだ時は昭和の真っ只中、食堂車や新幹線のビュッフェ(今はもうない)でウイスキーが飲めた時代だ。旅紀行、今はテレビで毎日どこかで旅番組をやっているがさすがにそれはヤラセみたいなのも多い。氏と比べては格が違うが。詩人という肩書を感じさせない淡々とした文には癒やされたなあ。どこに行っても気取らずに酒を飲み食べて語る。遠い昔、食堂車でひとりコーヒーを飲みながら旅したことを思い出した。2021/12/13
KAZOO
98
田村さんの名前は推理小説の訳者ということで知っていましたが、本業は詩人だったのですね。この本はかなり前に出版されたものですが、最近出版されていて手に取りました。かなり昔の旅行記です。最近は飛行機や新幹線などで移動が速くなっていますがここに書かれてるような旅もいいですね。途中お酒ばかり飲んでるような気もします。隠岐や若狭、越前、越後など行ってみたいという気がします。2021/05/06
あーびん
27
田村隆一の「帰途」という詩が好きで詩集を持っている。この詩人の旅はさてどんなものであろうかと読み進めていくと、ウィスキーを片手にやたら饒舌で軽妙な阿房列車のような味わいの旅行記であった。最初の隠岐への旅は私も境港と美保神社までは訪れたことがあったが、著者のいうほどのべっぴん、ハンサム揃いだったかまるで印象にない。いつかまた検証に行きたいものである。ちなみに境港で見かけた隠岐の島行のフェリーには鬼太郎たちのイラストが描かれてあってすごく乗りたい衝動にかられた。2019/11/09
紫羊
18
詩人の書く散文が好き。空にしたウイスキーのミニボトルを車窓に並べながら、ちょっと斜め上から物申す田村隆一はカッコいい。それにしても、昭和は随分遠くに去ってしまった。2023/08/27
無識者
16
散歩先の三省堂書店で平積みになっているのを見つけて、田村隆一の名前とその表紙につられて買ってしまった。今やネットで目的に適合した本をピンポイントで注文をするのが主流であるなか、こうした体験は大切にしたいと思い優先的に読んだ。文を書くのが上手い人にも色々なタイプがいるが、田村もその中の一人だろう。とはいえ、文というよりかは要所要所での表現が上手いというべきか。どことなくお洒落でかっこよさがある。そのかっこよさも普段の飲んだくれ親父という性質から際立つのかもしれない。ということなので私も飲んだくれになる。2020/08/04