出版社内容情報
一日ぢゆう雨が降つたり止んだりしてはつきりせざれども小屋にゐる時と違ひ困る事無き也――。新居に電気が引かれ、何年振りかで家の風呂に入る。還暦の内祝に九晩に分けて客を招く。昭和二十三年六月一日~二十四年十二月三十一日まで。【全三巻】
〈巻末エッセイ〉中村武志・平山三郎
〈解説〉佐伯泰英
内容説明
大鯛一尾と赤い座布団の目録をお祝ひにくれた、目出度一献す―。自宅へ客を招いて九晩にわたり還暦を祝う。「贋作吾輩は猫である」の連載開始、琴を撫で、将棋を指す日々。昭和二十三年六月一日から二十四年十二月三十一日まで。索引付。おぼえ書・平山三郎。全三巻。
目次
昭和二十三年(六月;七月;八月;九月;十月)
昭和二十四年(一月;二月;三月;四月;五月;六月;七月;八月;九月;十月;十一月;十二月)
百鬼園戦後日記おぼえ書(平山三郎)
巻末エッセイ 堀立小屋の百〓先生(中村武志)
著者等紹介
内田百〓[ウチダヒャッケン]
明治22年(1889)、岡山市に生まれる。六高を経て、大正3年、東京帝大独文科を卒業。この間、漱石の知遇を受け、門下の芥川龍之介、森田草平らを識る。以後、陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などで教鞭をとる。無気味な幻想を描く第一創作集『冥途』をはじめとして小説や随筆など多くの著作がある。昭和46年(1971)4月、八十二歳で没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさ☆( ^ω^ )♬
7
「東京焼盡」から読み継いできた百閒先生の日記もいよいよ完結。終戦から4年間の窮乏生活も、淡々と、しかも楽しんでいるようにも見受けられ、本当に逞しい方だなあと感心する。新居に引っ越し後は執筆も再開され、名作の数々が生み出される。その過程を垣間見れるのが楽しい。読み終わるのが勿体無いし寂しい気もするが、時折適当に読み返してみようと思う。2024/08/09
ちさ
4
長く続いた小屋暮らしを終え、新居に移った百閒先生。風にも雨にも悩むことなく、落ち着いた暮らしになってよかったねぇ。訪れる人々の多さに驚く。寝ていたら誰だろうと会わないし、原稿の依頼を片っ端からことわるのがいっそ清々しい。でも全く仕事してない訳でなく!「サラサーテの盤」や「贋作猫」など知っているタイトルが出てきて感動。還暦祝いを連日やってて笑っちゃった。出先でアイスやプリンなど、甘いものを食べる百閒先生がいいね。2021/03/25
gorgeanalogue
3
日記後半になると御殿ができた所為か、前半の掘立小屋のような苦労と面白みは少なくなる也。再録なのに平山三郎の「おぼえ書き」にひどい誤植見つかる。解説の佐伯泰英まったく面白くなし。2019/06/02
よしださいめい
1
戦後日記、完結。 百閒先生の日常。日々の天気とお酒のこと。 家にやってくる編集者の仕事の依頼を「ことわる」。別の日には、原稿を書く。 しかし、毎日毎日、よくお酒を飲むなぁ、と。2019/04/20