出版社内容情報
古代と近世を結ぶ谷間といえる中世は、権力崇拝の時代であり、宗教の時代でもあった。その暗黒の時代、統一国家として東アジア諸民族の政治と文化の根幹を築いた大唐帝国を中心にすえ、この史上稀にみる中国の中世、七百年にわたる興亡史をダイナミックに描いた名著。〈解説〉礪波 護
宮崎市定[ミヤザキイチサダ]
著・文・その他
内容説明
古代と近世を結ぶ谷間といえる中世は、権力崇拝の時代であり、宗教の時代でもあった。その暗黒の時代、統一国家として東アジア諸民族の政治と文化の根幹を築いた大唐帝国を中心にすえ、この史上稀にみる中国の中世、七百年にわたる興亡史をダイナミックに描いた名著。
目次
谷間の時代
天下三分
西晋の統一
民族大移動
江南の別天地
南風競わず
胡馬のいななき
新軍閥の勃興
大唐帝国
唐王朝の変質
中国中世の終幕
著者等紹介
宮崎市定[ミヤザキイチサダ]
1901(明治34)年、長野県飯山市に生まれる。松本高校を経て、25(大正14)年、京都大学文学部史学科東洋史学専攻卒業。六高教授、三高教授、京都大学文学部教授を歴任。65(昭和40)年、停年退官。京都大学名誉教授。文学博士。専門は中国の社会・経済・制度史。89(平成元)年、文化功労者。95年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シタン
27
三国から五代の“中国の中世”を、超一流の学識と文才で科学的に述べた空前絶後の名著。中世という言葉をきけば普通西洋史を思い浮かべるが、中国史にも中世がある。特に宮崎博士の時代区分論では東洋と西洋(より正確にはこれらにイスラム世界が加わる)がよく比較され、それに基づいて従来中世に含まれていた秦・漢を古代に包含させて三国以降を中世とする。秦・漢帝国はローマ帝国と比較されるべきなのだ。このように博士には世界規模の視点が常にあり、秦・漢はローマ帝国と、東晋は東ローマ帝国と、唐はカロリング朝フランク王国と比較され、→2019/07/28
shimashimaon
8
『隋の煬帝』を読んだので次は唐と思い読み始めたものの、実は、その前後740年間にわたる壮大な中国中世史の物語なのでした。「中世は谷間の時代」というように、王朝交代期の殺戮と、平和時の君主の暴虐振りが読むに耐えない。読みやすくて面白く、仏教の興隆、貨幣経済の萌芽、荘園の発達という興味あるテーマについて理解が深まったので満足です。我が国の歴史理解に役立つと思います。所々で太平洋戦争時の出来事の考察が入り混じり、貴重と思います。ただ「中世史の意義がわかれば歴史全体がわかる」という領域には到達し得ずです。2021/11/07
若黎
7
これを読む前に積読の山に中公文庫の同じ本があったのよ、とほほ。ちゃんと読まないから、こんなことに。 でも、お堅い本のイメージだったけど、読みやすかった。帝位についたら前代は殺しまくる、でも自分の子供は殺さないでくれって、そんなん無理っしょー。南朝梁の武帝なんて太平をもたらし仏教興隆させたすごい人だと思ってたら、最期がアレなもんで、長生きしすぎとばっさり。魏晋南北朝時代に興味あるなら、これから読むのもいいかもです。2021/08/12
nizi
5
唐の話ではなく、なんと魏晋南北朝を全て網羅した内容。宮崎市定的には、唐を知るには漢帝国の終焉から説明する必要があるということだろうか。あと倍くらいのページが必要じゃない?2025/03/28
in medio tutissimus ibis.
5
この本に、杜甫の名が出てこない、という批判があったそうであるが、確かにその憾みには感ずるところがなくもない。君主への権力の過度の集中が中国中世を血腥くし、唐は政策決定に官僚と責任を分かち合うことでその弊を減じたのは著者の記すところだが、杜甫はまさに諫官であったのだから。彼のもっとも人口に膾炙した詩は「春望」であろうが、そこで破れた国とは長安であり、烽火とは安史の乱である。あれは、節度使という自ら設けた令外の官に叛かれ官僚を置いて逃げ出した皇帝に、もはや仕える気が失せた=渾欲不勝簪、という詩なのである。多分2021/03/23
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