出版社内容情報
長原製薬の広報部員・槇田は、副社長から極秘である調査を命じられた。相次いで発生している転落死亡事故に、自社製品が関わっている可能性があるというのだ。各地の警察に赴き、自社製品の使用履歴を密かに調べる槇田。経営不振により外資企業と合併交渉中の長原製薬にとって、この時期の不祥事は致命的だ。槇田は被害者家族の口を金で封じるという業務を任されるのだが、過去の公害事件も再燃してきて――。警察小説の旗手が挑む、社会派サスペンス!
内容説明
長原製薬の広報部員・槇田は、副社長から極秘任務を命じられた。相次いで発生した転落死亡事故に、自社製品が関わっている可能性があるという。外資企業と合併交渉中の長原製薬にとって、この時期の不祥事は致命的だ。被害者家族の口を封じるために動く槇田は、隠蔽された過去の公害事件にも直面し―。巻末に「玉山鉄二×堂場瞬一対談」を収録。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年秋『8年』にて第13回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のり
76
製薬会社なのに不祥事を隠蔽する体質が改善されない。副社長の命で揉み消しに指名された「槙田」。会社の倫理と社会の倫理は違う。事の重大差と上司の圧力の板挟みで擦りきれる心。一社員と一人の人間としての葛藤。人命に関わるからこそ決して隠蔽は許されない。2019/12/02
Rin
62
【図書館】主人公は普通のサラリーマン。毎日仕事をして家に帰る。そんな風に続くはずの日常が突然、上司によって奪われてしまう。会社のために、会社を守るために。そのための上司の判断に、部下はどこまで従うのか。自分の将来と、会社の在り方。製薬会社だけの問題ではない。主人公だけではなく相手側や上司まで、それぞれの葛藤が伝わってくる。誤断は会社だけではなかったのかも。その時はそうするしかなかった…という言葉が聴こえてきそうな気がする。主人公があそこで留まることができて良かった。でも最後の最後には悲しみがありました。2018/08/23
pdango
59
★★★★☆製薬会社の闇。大企業の会社ぐるみの隠蔽、起こるときはこんなふうなんだろうなと。2019/06/11
てつ
57
面白かった。最後まで一気読み。堂場さんは企業小説も面白い作品を書きますね。ただ、公害というテーマは少し重すぎたかも。現実離れの設定に見えてしまいました。2017/12/05
Syo
32
う〜む。 倫理。 会社が大事か 人の命が大事か。 当たり前のことなのに できない…。 う〜む。2019/12/27