出版社内容情報
無心者や押売りが悪態をついて、これだけの構えに二円や三円の金がないと云う筈はないなどと云い出すと、蔭で聞いていても可笑しくなる。そう云う俗物にはそんな気がするかも知れないが、無いとなったら洗った様になくなる(本文より)。質屋、借金、原稿料……飄然としたなかに笑いが滲みでる。お金にまつわる三八篇。〈解説〉町田康
内容説明
無心者や押売りが悪態をついて、これだけの構えに二円や三円の金がないと云う筈はないなどと云い出すと、蔭で聞いていても可笑しくなる。そう云う俗物にはそんな気がするかも知れないが、無いとなったら洗った様になくなる。質屋、借金、原稿料…飄然としたなかに笑いが滲みでる。お金にまつわる三十八篇。
目次
夏の鼻風邪
俸給
質屋
秋宵鬼哭
百鬼園旧套
風燭記
炉前散語
御時勢
売り喰い
志道山人夜話〔ほか〕
著者等紹介
内田百〓[ウチダヒャッケン]
明治22年(1889)、岡山市に生まれる。六高を経て、大正3年、東京帝大独文科を卒業。この間、漱石の知遇を受け、門下の芥川龍之介、森田草平らを識る。以後、陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などで教鞭をとる。無気味な幻想を描く第一創作集『冥途』をはじめとして多くの著作がある。昭和46年(1971)4月、八十二歳で没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
59
お金はないけれど借金はしたことがない。知人に借りたら人間関係が壊れるからだ。だからこのくらいの時代は人心が大らかだったのだろう。それにしてもどこまでが確信犯なのだろう。育ちの良さゆえの甘えも見え、そこがちょっと嫌だったかな。2019/01/19
メルル
30
お金が無い。と、つぶやく。それはどの程度のものか。この本さえ読めば安心できる。まだまだ私は甘かった。しかし、これ程までにお金がなくても案外なんとかなるものだ。そう思っているのは本人だけだろうけど…(笑) こんな生き方でも幸せそうにしているのは、良いことなのか悪いことなのか、さっぱりわからなくなった。2018/03/05
tsu55
19
内田百閒の随筆の中から借金にまつわるものを集めたアンソロジー。 借金を返すために高利の町金から借金をするというような絶望的な状況にあっても、どこか他人事のような、飄々とした書きぶりが独特の味わい醸し出している。苦境に陥ったその境涯を、高いところから珍しい動物を見るような目で見下ろし眺め、観察する。そんな感じか。2019/09/09
そうたそ
19
★★★☆☆ 著者の”金"にまつわるエッセイを集めた一冊。著者の借金に関する話は有名な話だとは思うのだが、その類の話だけで一冊が編めてしまうとはさすがのもの。面白いんだけど、これだけ一気に借金話ばかり読ませられるとなると正直言って飽きてしまった。2019/01/30
紫草
10
「阿房列車」で、汽車に乗って大阪に行きたくなったので行った、お金はないので旅費は借金をした、というのが強烈に印象に残っていて、お金に鷹揚というか呑気というか、おもしろい方だなあと思っていたのですが、その百閒先生の「貧乏美学エッセイ」。いかにして借金を踏み倒したりまけてもらったり(たまには)ちゃんと返したりしたか、のお話。凡人なら胃に穴が開いちゃいそうな状況だと思うのですが、ご本人はまったく悪びれずどうしても返さなければならない時はどこかから借りてきて返す、といった調子でもう笑うしかない。2018/01/03
-
- 電子書籍
- ケムリが目にしみる【単話版】 7 まん…