内容説明
夫の両親と同居する塔子は、可愛い娘がいて姑とも仲がよく、恵まれた環境にいるはずだった。だが、かつての恋人との偶然の再会が塔子を目覚めさせる。胸を突くような彼の問いに、仕舞い込んでいた不満や疑問がひとつ、またひとつと姿を現し、快楽の世界へも引き寄せられていく。上手くいかないのは、セックスだけだったのに―。島清恋愛文学賞受賞作。
著者等紹介
島本理生[シマモトリオ]
1983年、東京都生まれ。2001年『シルエット』で第44回群像新人文学賞優秀作、03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞、15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
338
『鍵を外すまではやたらと時間がかかる体も、いったん開かれてしまえばこんなにも快感の速度が変わるのか』。島本さんが官能世界を文庫本503ページという物量の中に妖艶に描き出すこの作品。そこには、一見なんの不満もないように見える日常を過ごす主人公の塔子が、一方で強く希求する快楽への思いの中にせめぎ合う様が描かれていました。嫌らしさと美しさの絶妙なバランスに酔うこの作品。そんな物語を読後感悪くなくまとめる島本さんの筆の力に驚くこの作品。官能世界を描いても島本さんは島本さんであることに安心もした、そんな作品でした。2024/04/14
bunmei
326
恋愛の心理描写と駆け引きを巧みに表現し、男女の縺れ合う官能の世界を濃密な性描写を交えて綴られ、きわどい表現にも挑んだ大人の恋愛小説。来春には、夏帆と妻夫木聡の主演で、映画化も決まっているとか…。真面目でマザコンの夫、昔の恋人で強引な鞍田、同僚で軽薄な小鷹と最初は男達に翻弄されている様に見えた塔子。しかし、次第に男達を巧くコントロールする立ち振る舞いが浮き彫りになり、女としての内面に宿る強かさが滲み出てきます。登場人物の性への欲望は生々しく描けていて一気読みでしたが、正直どの人物にも共感はできなかった。 2019/10/09
absinthe
323
面白かった。女の女による女のための官能小説。男は馬鹿だから男がこの手の話を書くと容姿にこだわって顔とおっぱいとおしりの話になってしまうのだが、女は色々心の内側が大切なようだ。人目を引く美人でないが、堅実そうな印象の塔子。なのに内面は…という面白さ。「寝てほしい」と3回言われたらもうゴロンとしてしまう。欲求不満とはいえ軽すぎないだろうか。結局いい女と言うより男に都合のいい女。塔子にもう少し翠の将来象を語ってほしかったのだが。作品中で子育ては単なる重荷だ。2020/12/11
nanako
285
確かに真は頼りない。でも塔子はもっと悪い。塔子のコロコロ変わる思考にはついていけず!です。2020/04/27
のり
242
何不自由なく暮らしていたはずの「塔子」は、かつての恋人「鞍田」に再会し、心の隙間・身体の寂しさ・家族との意見の相違が原因で深みに嵌まっていく…確かに旦那の言ってる事は正論だが、どこかズレているし癇に触る言い方は堪えると思う。それでも正直赦される行為ではない。相性はあると思うが…流されやすい塔子にも問題はある。2019/05/22
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