中公文庫<br> マレーの感傷―金子光晴初期紀行拾遺

電子版価格
¥814
  • 電子版あり

中公文庫
マレーの感傷―金子光晴初期紀行拾遺

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 208p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122064447
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C1195

出版社内容情報

どの村落にも村落のどの小さい家にも世界の波動はうちつけ、衝撃しているのだ。ただ私は旅行者なので、通り過ぎるものなので、それに気づかずにすませるのだ――三千代夫人の不倫を精算するために二人で出発した昭和初頭の中国・欧州・南洋。当時の雑誌掲載作品や手帳などから編集する、晩年の自伝三部作へ連なる原石的作品集。本人によるカット、色紙等の図版収録。

内容説明

どの村落にも村落のどの小さい家にも世界の波動はうちつけ、衝撃しているのだ。ただ私は旅行者なので、通り過ぎるものなので、それに気づかずにすませるのだ―妻・三千代の不倫を清算するため二人で旅立った中国、欧州、南洋。旅の記録を当時の雑誌掲載作や手帳からオリジナル編集。自伝三部作の原石ともいえる貴重な作品集。

目次

1(西湖舟遊;春の半淞園;北京雑景 ほか)
2(好色の都;フランドル遊記;北欧ブラバン ほか)
3(馬来の感傷;蘭印の旅から;蘭印紀行)

著者等紹介

金子光晴[カネコミツハル]
明治28年(1895)、愛知県に生まれる。早大、東京美術学校、慶大をいずれも中退。大正8年、『赤土の家』を出版後渡欧、ボードレール、ヴェルハーレンに親しむ。大正12年、『こがね蟲』で詩壇に認められたが、昭和3年、作家である妻・森三千代とともにふたたび日本を脱出、中国、ヨーロッパ、東南アジアを放浪。昭和10年、詩「鮫」を発表以来、多くの抵抗詩を書く。昭和50年(1975)6月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ori

9
「マレー蘭印紀行」に比べたら、わりと普通に書いてて、あの詩的で絵画のような描写は少なかったけど、香港のとこは蘭印紀行的な描写だったのが好きだー。 「香港のピークの感覚ほど倒錯的で、新鮮で、近代的な美しさというものを、みたことがない。鉛筆を立て並べたような樹木の幹が、白堊の山荘の窓、窓のテラスにいる人たちと同じように斜っかいにそりかえり、あしのしたにひくくなってゆく。」2018/11/28

渡邊利道

2
マレー蘭印紀行の素描のような紀行文集。中国、ヨーロッパ、東南アジアの三部構成で、やはりデガダンスとオリエンタリズムに充ちた東洋ものの描写が何と言っても素晴らしいが(中国の漢詩文を蓄えた文化の厚みと豪奢に対するコメントにハッとさせられる)、パリ、フランドル、ブリュセルの荒んだ生活を背景に捉えたエッセイにも独特の魅力がある。全集でも借りてきてもうちょっと読もうかなと思った。2017/11/27

バジルの葉っぱ

2
中国、北ヨーロッパ、東南アジアの旅行記。風景の描写を楽しんだ。本能的なものを生々しく刺激されるところもあった。自分が行ったことのある街に関しては、何十年も時代が違うのに意外に印象が変わらないことに驚いたところも。文中、唐突に三千代の言葉がでてきたりして、光晴と三千代がそのときその場で一緒に行動していたのかいなかったのか、三千代との会話を回想していたのか、よくわからなかった箇所があった。2017/10/08

Teppei Sakano

1
100年近くも昔にアジア、ヨーロッパと漂白するその想いはどのようなものか。熱情と焦燥に駆られつつ空虚な眼差しで世界を描写する作者の心境を改めて様々考えた。2021/12/11

hiratax

1
金子光晴のアジア・海外放浪ネタ補遺というべきもの。5年ぶりに訪れたマレーシアのバドゥパハトで読み終える。1時間もあれば回れてしまうので、日本人学校跡地を探す。旧市街らしき場所はあるが、そこからまったく目当てがない。クアラルンプールの国立図書館へ行くも、昔の地図はなさそうだった。同地の日本人学校の資料を日本の側で調べて同定できてないだろうか。2017/10/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12121099
  • ご注意事項

最近チェックした商品