出版社内容情報
子ども禁制、大人のためのミステリ。山崎まどか(エッセイスト)絶賛! ミステリ、サスペンス、ホラー、初書籍化のショートショート。バラエティ豊かな文庫オリジナル短篇集第二弾。
内容説明
推理作家が親友に古今東西の「殺し方」を話したその晩、人が殺された。驚きの方法で…(「冷たいのがお好き」)。昔の恋人を消す計画を練っていた男が落ちた陥穽(「殺さずにはいられない」)。幻のショートショートを含む傑作短篇集第二弾。著者選「ミステリーひねくれベスト10」も収録する。
著者等紹介
小泉喜美子[コイズミキミコ]
1934年東京生まれ。三田高校卒業後、ジャパンタイムズ社に勤務のかたわら、翻訳を手がける。63年『オール讀物』ミステリ新人賞の応募作である『弁護側の証人』で注目される。85年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっこ
61
30年以上も前に書かれた作品の短編集。言い回しが昔の上品な感じで時代を感じます。それでもどれもピリリとスパイスが効いたラインナップ。ブラックな仕上がりだったり洒落たミステリ。「冷たいのがお好き」が特に印象に残りました。2020/03/17
藤月はな(灯れ松明の火)
43
「冷たいのがお好き」は真逆の殺害方法に仰天。でも実際は実行不可能だそうですね。良かった~。「犯人のお気に入り」と「殺人者と踊れば」の哀しさや「突然、氷のごとくに」や「殺さずにいられない」の因果応報な残酷性も好み。特に「髪」は一番、好きな作品です。エロティックながら恋に溺れる女の愚かさや敬意、ラストの非情さに声を失う位、惚れ惚れしました。「ミステリーひねくれベスト10」で紹介されていた作品も半分は未読なのでチェックしよう。2017/09/26
geshi
30
昭和の頃のクールでユーモアあって洗練されていて毒も入ったシティ派の雰囲気を味わう短編集。『冷たいのがお好き』殺人方法について話しあって実際の殺人場面は描かないクールさ。『犯人のお気に入り』語りの枠そのものを仕掛けとして読者をミスリードする騙り。『被告は無罪』法の限界に挑む女の復讐計画に生まれた最後の陥穽。「酒」って雑誌に載せる話じゃあない(笑)。『殺さずにはいられない』殺人を通して男と女を対比して描く残酷さ。ショート・ショートは就職情報誌に載せるのに仕事に前向きになれる話が一つもない(笑)。2018/10/19
くさてる
29
「殺人や犯罪に“ファンタジイ”という魔法の粉をふりかけて、ドキドキする物語に変えてしまったもの」という解説の山崎まどかさんの一文がまさにドンピシャ。80年代に活躍した女性ミステリ作家の短編集です。昭和の香りはふんだんにあるし、いまとなっては展開が先読みできるものもあるけれど、時代を感じさせる泥臭さがなくてお洒落で、読みやすい。けれど、ミステリに必要な人間心理への洞察は深い。面白く読みました。2020/08/15
ひなきち
27
ミステリー愛にあふれた短編集。思わず口をあんぐり開けてしまうようなトリックや結末が、ユニークだった。でも面白がってばかりもいられない!例でいうと「尾行報告書」「血筋」は一見ミステリーぽくない。なのに…読み終えてから、心のざわつきを押さえることができないのだ。「もしかしたら私は事件前の重要な現場にかち合ったのだろうか…。あのあと事件が起きるのだとしたら…?」そんな想像をさせてくれる。とらばーゆで連載されていた小話集も好き。一風変わった「ひねくれミステリー」。なんだかハマりそう。2017/10/06