内容説明
最新鋭の技術をもって建造された「世界最強」の帝国海軍戦艦は、終戦間際、二度目の出撃の際、あっけなく撃沈された…。片道ぶんの燃料のみを積んだ「水上特攻」に従事した人々は、どのような思いを抱いて死んでいったのか。生還した大和副長が生々しく綴った手記。
目次
慟哭の海(天号作戦;月月火水木金金…;連合艦隊命令 ほか)
レイテ沖海戦(風雲、急を告げる;堂々の出撃;武蔵の最期 ほか)
「大和」建艦とその威容(日米建艦合戦;涙をのんだ軍縮会議;極秘の設計図 ほか)
著者等紹介
能村次郎[ノムラジロウ]
1901年生まれ。元海軍大佐。愛知一中を経て海軍兵学校(第五〇期)を卒業。戦艦大和副長として「レイテ沖海戦」「天一号作戦」に参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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breguet4194q
114
なぜ、副長という高官が生き延び、自伝を書けたのか?艦長は艦と生死を共にする位ですから、副長も同程度の対応かと思ってました。しかし特攻にあたっては、戦いの全貌を大本営に報告するために、生き延びるよう艦長命令が下ってます。副長ですから、大和の特攻前後を俯瞰して知るには非常にいいと思います。資料に基づいて補記した部分があるとはいえ、大和についての詳細をよくここまで知っているな、と感心しました。後世に遺すべき大切な一冊だと思います。2023/08/26
rokoroko
16
卓球の早田ひな選手が「知覧とアンパンマンミュウージアムに行きたい」といったので違和感があった。これでわかった。やなせ氏は弟の千尋さんを戦争で亡くしてるのだ。機関室で音を聞く仕事魚雷にやられたらひとたまりもない。この本よむとアンパンマンマーチが胸に届く。愛と希望だけが友達さ2024/08/20
Ohe Hiroyuki
4
戦艦「大和」副長であった著者による沖縄特攻(天一号作戦)そして大和沈没の瞬間までの回顧録である▼著者が生存したこと自体も奇跡的であるが、ここまで克明に記せるのかということに驚きを禁じ得ず、著者の思いを感じるところである。▼その内容は読むに堪えない部分もある。今を生きる我々にできることは、彼らへの感謝と今を生きる負託を感じることではないだろうかと思う。▼本書は故あって手に取った一冊である。本書をもって何かを学ぶというよりは、鑑賞するのに適した一冊であるといえよう。兵装についても詳細な記述があり、参考となる。2021/12/24
ころも
2
呉の大和ミュージアムを訪れてから大和のことをもっと知りたくなり、本書を手に取りました。著者は沖縄特攻の極わずかな生存者の1人で、副長でもあった能村次郎氏。よって本書では当時の様子が丁寧かつ鮮明に描写されています。特攻が決まるまでの経緯、それを告げられた乗組員の状況など、戦いの残酷さはもちろんのこと、人々の心の葛藤が悲しくもはっきりと伝わってきます。あとがきで著者も触れていますが、本書で触れられている方はほんの一部に過ぎません。大和に乗船していた3332人それぞれの物語があったのだと感じさせられます。2022/10/02
しんさん
2
3000人の部下を率いて水上特攻する管理職の胸中とは。泣きながら読みました。2021/10/28