中公文庫
痛みかたみ妬み―小泉喜美子傑作短篇集

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  • サイズ 文庫判/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122063730
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

内容説明

先生、ごめんなさい…。痛みと後悔に苦しむ少女が知らぬ“真実”(「痛み」)。裕福な人妻はなぜホテルで突然命を絶ったのか?(「かたみ」)。天才舞踊家をずっと見つめてきた女の心裏は(「妬み」)。息詰まる駆け引き、鮮やかなどんでん返し―人生の裏も表も知る大人のためのミステリ。入手困難・幻の短篇集の増補復刊。

著者等紹介

小泉喜美子[コイズミキミコ]
1934年東京生まれ。三田高校卒業後、ジャパンタイムズ社に勤務のかたわら、翻訳を手がける。63年『オール讀物』ミステリ新人賞の応募作である『弁護側の証人』で注目される。ミステリーの訳書も多い。85年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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HANA

60
ミステリ短編集。表題作である「痛み」「ねたみ」「妬み」は女性の心理を描いたもの。心は自分の思いのままにならぬものであり、ふとした瞬間にそれが溢れ出す様子を想像させられる作品であった。自分はどちらかというと「セラフィーヌの場合は」や「影とのあいびき」の方が好みかなあ。著者が詳しいとされる歌舞伎を題材にしたもので、特に前者は女形が持つエロスを描いた場面が何とも言えない。残りは芸能界の都市伝説っぽい作品と、トリックを用いたもの。文体とかがやはり昭和を感じさせられるものが多く、読みながら懐かしい気分にさせられた。2017/05/06

Bugsy Malone

59
1977年から1980年初出の8編を纏めた短編集。嫌ミスというジャンルが定着し、優れた作品が生み出されている現在では、流れが読めてしまったりオチが分かってしまう部分が有るのは否めない所でした。それでも時代が色濃く出ている雰囲気、先へ先へと読んでしまう面白さ、そしてこれらが書かれたのが20数年前、「悪霊島」や「野生の証明」などと同時期だったという驚きに、改めて著者の並々ならぬ凄さを感じてしまう短編集でした。2022/01/23

竹園和明

40
典型的な往年のミステリー小説集。「妬み」は“自分の立ち位置は常に相手より上でいたい”という狭量な女の上から目線を上手く描いた短編。ひっぱたいてやりたくなるような女ね(笑)。秘かに恋心を抱く夫人に見事に騙され、彼女の夫を殺害してしまう「セラフィーヌの場合は」。自分に対しての長年の恋心を逆手に取る女の狡猾さが恐ろしい。今となっては全体的にやや古くささは否めないが、シャープでありながら読み易い筆致は当時としては先進的だったかも知れない。重厚な小説を読んだあとにアタマを切り替えるには丁度いい短編集です。2018/01/04

藤月はな(灯れ松明の火)

40
久しぶりに大好きな北見隆氏の挿画が表紙の本を見つけて興味を持って読んだ所、大当たり。ジョゼフ・テイやP・G・ジェームズの翻訳でお馴染みの翻訳家兼作者のフィルム・ノワール的短篇集。表題短編の題名がフランス語に直されている所もお洒落。「痛み」は先生の偽善性に吐き気を催しつつも青狐を殺さなければならなかった彼女に待ち受ける事実の残酷さに目が眩む。「妬み」はカラっとした語りと裏腹の同性への逆恨みめいた妬みに共感しまくりで困った^^;地獄に揉まれない女の道明寺は説得力がないよね。そして後で表紙を見るとゾッとします。2017/05/15

くさてる

33
時代を感じる部分はあるけれど、読み応えのあるミステリ短編集。昭和という時代の雰囲気を令和のいまに伝えるという意味でも、時代に負けず残る一冊なのでは。ホテルで見つかった社長夫人の死の謎を追った「かたみ」は、トリックというか謎解きとしては?かもしれないけれど、わたしはすごく好き。せつなくて仕方がない。これもまた昭和という時代でしか成り立たない話です。良かったです。2020/09/05

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