内容説明
昭和18年5月、水木しげるは21歳で召集され、鳥取歩兵連隊に入営後ラバウルに赴く。毎日続く初年兵いじめのビンタ。そして始まった壮絶な戦いで、味方は全滅。命からがら中隊へ一人帰還するが、待っていたのは「皆が死んだんだからお前も死ね」の言葉。やがて空からの銃撃で左腕を失う。そんな「地獄」のなか、水木は偶然出会った原住民の集落で歓待され、彼らと親交を深め「天国」も体験する。兵士として戦場を生き抜いた著者だからこそ描くことができた珠玉の短篇集。
著者等紹介
水木しげる[ミズキシゲル] 
1922年(大正11年)、鳥取県境港市生まれ。太平洋戦争中に召集され、ラバウルで左腕を失う。復員後、輪タクの親方、アパート経営、紙芝居作家を経て貸本向け漫画を描き始め、1958年『ロケットマン』でデビュー。65年『テレビくん』により第6回講談社児童漫画賞、89年『昭和史』により第13回講談社漫画賞受賞。91年、紫綬褒章、2003年、旭日小綬章を受章。07年『のんのんばあとオレ』により、第34回アングレーム国際バンド・デシネ・フェスティバル最優秀コミック賞を受賞。2015年11月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@鬼畜ヴィタリにゃん💗
68
          
            早朝に読破。戦争は全て日本が仕掛けた事。上層部の責任。A級戦犯で死刑になった理由もよく分かる。水木先生は兵士として南方に派遣され生死の境を何度も彷徨うも無事生還され、私達に大切な事を教えて下さっている。罪のない兵士、一般市民。戦場と化した南国の楽園を鋭い筆致で表現した作品✨2022/01/20
          
        たまきら
37
          
            水木先生の常に自分の感じ方を優先する描き方が好きです。とりとめがなく、軍隊においてすら個人主義で、怒っているようでのほほんと観察していて。「両軍とも善意を持っていたのだ」と言い、戦争論を読んで「戦前の雰囲気を味あわせてもらって楽しかった 」と言い、同時に「胸騒ぎがする…きっと年のせいだろう」とうそぶく。でも、この万華鏡のような言葉と心にたぶらかされてはいけない。漫画家水木しげるがいかに静かにヒトを観察しようとも、心は常に弱者とともにあるのだから…。読み友さんの感想から。2022/01/26
          
        Y2K☮
36
          
            「ほんまにオレはアホやろか」で読んだエピソードを漫画でも。さすがに迫力があるし反戦のメッセージも受け取った。と同時に腑に落ちない点もあり、呉智英の解説を読んで納得した。戦争体験者である著者が描いたからといって全て真実とは限らない。歴史の客観的考察を情に流されておこなうのは危ないし、過去の悲劇を今の政治的駆け引きの道具にいつまでも利用したがる輩の悪意をスルーするのも違う。ただ全体主義に染まり易い日本人の弱点が健在だとコロナ禍で証明された以上、水木さんが小林よしのり「戦争論」に抱いた危惧はしっかり覚えておく。2022/03/22
          
        ケー
27
          
            この前見に行った「水木しげる展」に触発されて。本人が一兵士として戦場へ赴き、かつ、それをありのまま描くためその臨場感がほかの戦争マンガ、文学と比較しても半端ではない。キャラクターの表情や暴力描写はマンガならではの緩さ、可笑しみがあるのだが、それ以外のセリフや兵器の描写。これは目を背けたくなるほど。戦争が本当に恐ろしいものなんだって再認識させられる。2017/11/24
          
        とんかつラバー
16
          
            水木しげるは大好きだが戦争ものは重そうなので避けていた。しかし氏を知る以上は避けて通れない。ラバウル戦記を読んでみたら貴重な戦争体験と共に漫画としての完成度に驚かされた。こちらも「もし自分があの時死んでいたら」など様々なストーリーが綴られている。原住民が以前、日本兵に酋長を3人も殺されているのに水木サンを恨んだりせず優しく接してくれた話は人間というものを考えさせられる。レーモン湖畔、カンデレは「敗走記」に収録されているのと同じ2024/02/13
          
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