内容説明
日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、所帯は小さいが、世の中からはみ出た若い者を抱えて、天下に恥じない任侠道を貫いてきた。ところが最近、一部の地元民から暴力団追放の動きが起こり、めっきり肩身が狭くなった。そんな中、今回、組長が持ち込んだのは病院の再建話。日村は、個性豊かな子分たちと、潰れかけた病院の建て直しに奔走するが…。笑いあり涙ありのおなじみ「任侠」シリーズ第三弾!
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955年、北海道三笠市生まれ。78年「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞しデビュー。以後旺盛な創作活動を続け、執筆範囲は警察・サスペンス・アクション・伝奇・SF小説など幅広い。2006年『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞、08年には『果断隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞した。空手の源流を追求する、「空手道今野塾」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
438
『~学園』から続けて読破。今のところ全部面白い。今回は今まで以上に阿岐本のオヤジ無双。蛍光灯で怪我人出した時の対処など、随所で存在感を高めつつ、ラストの耶麻島組長との掛け合いまでお見事。ただの困ったオジサンに終わらないところが、このシリーズを引き締めている。病院再建の中身を見ると、そちらは若干、中途半端な幕引き。まずは掃除から、というのが今後定番になりそう。同時進行で追放運動が描かれ、纏めて解決する訳だが、その際に描かれる、事務所内での自炊や食卓模様など、妙にのんびなヤクザの日常の緩さが、意外に楽しい。2020/09/17
ehirano1
365
展開が容易に読めてしまうにも係らず止められないこのシリーズ、もはや中毒の当方です。中毒の要因はこれです→「立場を超え、年齢性別を超え、お互いを認め合い、慮ることでわずかでも救いの萌芽が生まれる・・・・・このときに著者は決して人物を作りすぎず、雰囲気を強調しすぎたりしないのだった。きわめて自然に、さりげない展開のうちに、くっきりと人物の性格が浮かび上がるように描いていく・・・(p399)」2017/08/12
鉄之助
335
ヤクザが、会社や団体を立て直す「任侠」シリーズの第3弾。荒唐無稽なフィクションと思いきや、思いがけない”気づき”があったり、心温まるほっこり話があったり、今回もはまってしまった。「人の気持ちは入れ物で変わる」と、病院の外壁清掃から、立て直しを図る。この名言は、どんな組織にも当てはまるような気がする。一番若い子分・真吉の魅力にも、参ってしまった。「生まれついての女たらし」で周囲の女たちは皆、自然と惚れていまう! そのわけは、「年齢も体形も美醜も関係なく、あらゆる女性の魅力を発見しようとしている」からだ。2020/04/15
三代目 びあだいまおう
293
痛快爽快、任侠シリーズ第3段!こんなに上手くはいかないよと思いつつ一気読み!ヤクザの阿岐本組に舞い込んで来たのは潰れかけてる病院の再生!これまで書店や学校の再建の実績を持つ阿岐本組長は二つ返事で請け負う。『やれ』とオヤジに言われれば即座に従う渡世のしきたり。とはいえ知識経験のない病院経営に不安しかない代貸日村。今回は日村の活躍は些少、阿岐本オヤジの貫目につきます!娯楽作品、面白い!ストレスなく即読です!ヤクザは仁義、医は仁術!病院で働く方々の意識と使命感と誇りに感服!スカッとなりたいあなたにお薦め‼️🙇2019/01/13
sayan
221
テンポのいいストーリーに、キレのある「オヤジ」の発言が面白い。うろ覚えだけれど「経営が傾く」は「お金がない」以上に「人の心が傾いている」という箇所はなるほどなあと思った。2016/05/02
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- 地図男 角川文庫