内容説明
廃校が決まった東玉川高校、通称トンタマ。卒業を控えた最後の生徒たちの「終わり」に満ちた平凡な毎日は、熱血中年非常勤講師・ジン先生の赴任で一変した。暑苦しい「レッツ・ビギン!」のかけ声に乗せられて、大道芸に出会った省エネ高校生が少しずつ変わっていく―きっと何か始めたくなる、まっすぐな青春賛歌。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞、14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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速読おやじ
48
重松清の青春群像モノは大好物である。主人公の住む玉川ニュータウンは多分あそこがモデルで、そう考えると親近感が湧く。廃校になる公立高校の最後の高校三年生、淡い恋、最後の思い出作り、もうそれこそ幾度となく物語に使われる素材である。それを重松清は40代で書いているのだ。デビュー作のビフォアランを書いたのが20代、同じ高校三年生が主役だ。歳月が過ぎたからこそ書けるモノもあるだろう。一瞬でいいから、あの頃に戻りたくなった。いや、僕の高校は男子校で二段ベット2個の寮生活で、ウサギ飛びの青春はもうお腹いっぱいだ^ ^2021/06/27
kk
38
いやいやいや、良い話だったなぁ。昔はこう見えても高校生だったこともある、二人の子を持つオヤジとして、限りない共感を抱きながら読みました。ところどころ鼻の奥がツーンとなったりマブタがウルウルしたりしました。ホントは若い人たち向けなんだろうけど、kkみたいなオヤジがウルウルしても全く恥ずかしくない、素晴らしい物語だと思いましたよ。さぁ、レッツ・ビギン!!2020/01/31
shiozy
37
久しぶりのシゲマツである。東京近郊にありながら、廃校を迎える玉川東高校(通称トンタマ)。その最後の三年生たちのお話である。久しぶりにシゲマツの青春物を読むと、話のクサさに照れてしまう。ちょっとベタ過ぎない? 最初はそう思うのだが、次第に話にのめりこんでいく。最後は決まって涙である。トンタマ最後の高校生。「最後だからこそ、俺達で何かを始めよう」「レッツビギン」なのである。そういえば、数年前に関わった「創業支援」のプロジェクト名も「レッツビギン」であった。2015/10/14
Takeshi Kambara
32
高三の秋、廃校が決まった学校で最後の二学期をだらだら過ごしていた主人公達の前に突如現れた熱血業者の校内放送で始まる化学反応。そこからの子供達や周りの人達の心境の変化がとても面白い。青春時代の何でもない日常がいかにキラキラしたものだったかは今だとよくわかる。物語終盤は結構感動的だった。レッツ・ビギン!あと、ムクちゃん大好きだから二人のその後を描いた続編を読んでみたいです。2019/02/26
メルル
32
この歳になっても新しいことができたらいいなって思う。こんな私だってそう思うんだから若者はどんどん新しいことに挑んでほしい。高校生ぐらいで人生悟ったような気持ちでいないでジタバタしてよ。ネタローたちのように今から始めよう。ムクのようにまっすぐ生きろ。私、カッコ悪い大人だよ。カッコ悪い私を見て、こうはなりたくないってことで若人よ気張れ。若者応援小説。2015/10/21