内容説明
生涯最初のチーズの味、向田邦子との美味談義、海軍時代の仲間との旨いものの縁、文士たち贔屓の老舗の鰻、食堂車の思い出…、記憶の中の多彩な料理と交友を綴る、自叙伝的食随筆。巻末に、阿川佐和子との父娘対談「父さんはきっとおいしい」を収録。第五三回読売文学賞(随筆・紀行賞)受賞作。
目次
光の味・カレーの味
ひじきの二度めし
牛の尾のシチュー
ビール雑話
チーズの思い出
鰻
船の食事
まむし紀行
サンドイッチ
ハワイの美味
かいぐん
弁当恋しや
土筆づくし
ブルネイ料理
鯛の潮汁
鮎
卵料理さまざま
茸
福沢諭吉と鰹節
ビフテキとカツレツ
物くるる友
鮨とキャビアの物語
味の素
蟹狂乱
食堂車の思ひ出
甘味談義
置土産
対談 父さんはきっとおいしい(阿川弘之×阿川佐和子)
著者等紹介
阿川弘之[アガワヒロユキ]
1920年(大正9)広島市に生まれる。42年(昭和17)9月、東京帝国大学文学部国文科を繰り上げ卒業。兵科予備学生として海軍に入隊し、海軍大尉として中国の漢口にて終戦を迎えた。46年復員。小説家、評論家。主な作品に『春の城』(読売文学賞)、『山本五十六』(新潮社文学賞)、『井上成美』(日本文学大賞)、『志賀直哉』(毎日出版文化賞、野間文芸賞)、『食味風々録』(読売文学賞)など。78年、第三五回日本芸術院賞恩賜賞受賞。93年、文化功労者に顕彰される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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oser(読書家ではありませんドクシャーです)
12
「ぶうぶういって、うるさいやつだぞと思ってもらうほうが、美味いものを食うための弁法かな」 巻末対談のこの一文こそが風々録(ぶうぶうろく)たる由縁。 風々録らしく語り口は清清。旨いものは旨い、不味いものは不味いとはっきりしていて清々しい。 著者は食通の部類に入る方だと思うが(高級・高貴・珍味良し)というよりは純粋に食べること(歳歳の食にまつわる思い出)を大事にされているようで興味深く読めた。 特に海外旅行に行く際に、夫婦でわざわざ弁当を拵え飛行機の機内食を断るエピソードは微笑ましく楽しくて好き。2022/08/03
kurupira
10
様々な食を語るが、スッと読めるのは文章の巧さと感じる。昔の時代をかたっていても色褪せないのは食のなせるテーマだからか、、 ブルネイの話や卵かけごはんの素晴らしさを語っている所が、個人的には嬉しかった。2015/11/07
きあ
9
食いしん坊を自認する阿川先生の食の随筆は隅々にこだわりがあって本当に面白い。巻末の娘との対談もとても素晴らしい。阿川佐和子さんのエッセイも好きだし親子対談はもっと好きかも。二人のお互いに対する尊敬と愛情がにじみ出てくる対談でした。2019/06/10
コーデ21
6
阿川弘之氏の作品、初読み^^; お名前だけは存じ上げていたものの、「大家」のイメージが強くてなかなか手が伸びず。 でも意外や意外、クセのない軽妙な語り口が魅力的な一冊でした! 「ミスター海軍」「ガチガチのこわもて」と勝手に決め込んでいましたが(スミマセン<(_ _)> )、食べ物の話は作家さんの本質がチョロチョロと漏れ出ること多くて楽しいですね。食に対するこだわりとわがまま(笑)など温かなエピソードが多くて楽しめました!次は「海軍こぼれ話」あたりを読んでみようかな? 2017/07/30
高橋 (犬塚)裕道
6
星4つ。文章が良い!楷書と言う様な硬さはないが、端然としている。そこはかとなくインテリジェンスが薫っている。それでいて食べる事大好きが溢れている。読んでいると勿論食べたくなる。阿川弘之は初めて読んだがもっと早く読んでおくべきだった!とも思うがこれからの愉しみを得た様でもある。2015/09/18