内容説明
オリュンポスの神々の賭けにより、“魔物退治”に挑むことになった英雄の子テレマコスと美しき吟遊詩人ナウシカア。人類の命運を背負う二人が辿る波瀾の道行き、非力な人間の思いもかけない力、若き男女に芽生える恋の予感…構想二十年余、ギリシア神話をベースに織り上げた、絢爛たる愛と冒険のタペストリー。
著者等紹介
光原百合[ミツハラユリ]
1964年広島県生まれ。大阪大学大学院修了。尾道大学芸術文化学部教授。詩集や童話を発表する一方、98年に初のミステリー『時計を忘れて森へいこう』で小説デビュー。2002年、『十八の夏』で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。11年、『扉守』で広島本大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょん
17
もともとギリシャ神話好きだったので楽しめましたが、多分予備知識なしでも楽しいんじゃないかなあ。トロイ戦争のヘレナの気持ちとか、原典ではあまり書かれてなくて、単なる運命に翻弄されるお人形的美人と思ってたので、今回の話は興味深かった。後半のナウシカアと偉大な父を持つテレマコスのロードムービー的な展開は爽やか。そして口八丁手八丁なヘルメス様のファンになりました。2015/05/06
そら
12
とっても良かった!中学生の頃にゲド戦記とかナルニア国とかを読んでた時の感覚を思い出した。ギリシャ神話だからかな?風格があって、クオリティの高いファンタジーだと思う。1部の恋と戦の話(トロイア戦争)が好き。2016/08/17
BATTARIA
9
神々が人間に関与したくないからこそ、あれこれちょっかいやダメ出しするのは違和感大。運命というものに対する考えのご都合主義ぶりから、オリュンポスの神々が信仰の対象とならず、人々の精神から一神教に一掃されてしまった理由がわかる。近代ギリシャの支離滅裂ぶりも、神話の世界に大元があるのかもね。メデューサはじめ、明らかにギリシャ神話と異なる所が多いが、ギリシャ神話を愛すればこそ、著者が神話で描かれたキャラ設定に納得できなかったというのが、なんともはや。買って読むまで8年経ったが、昨年著者が亡くなっていたとは。2023/05/04
hana-chan
9
ギリシア神話をベースにしたファンタジー。ギリシア神話についての知識が無くても問題なく楽しめました。本当に面白かった!・・全部読み終わってしまって少し寂しくなるという感覚を、久しぶりに味わっています。個人的に光原百合さんの作品に外れ無しだと思っています。こちらの作品が気に入った人には、同著者のケルト民話をもとに作られた『銀の犬』という作品もおすすめします。2015/06/07
みみなし里緒
6
小学校時代、ギリシャ神話の抄訳を読んで、オリュンポスの12神が言えると自慢していた。(ヒンシュクもんです)アテナ女神が好きだったのは著者と同じ。なんたってゼウス父さんの頭から、武装して生まれたというのだからカッコ良すぎ。トロイ戦争ではカサンドラが好きだけど、今回は出演しなかったので残念。でも、本書のメインテーマである、ナウシカアとテレマコスの話は初耳の事ばかりでとても面白かった。ハッピーエンドに違いないとは思いながらも、途中ドキドキしてなかなか先へ進めなかった。この先、「また別の話」を楽しみにしたい。2015/07/17