内容説明
生きるとは負け続けること、死ぬとはもう負けぬこと―侍同士の真剣勝負に出くわし、誤解から城に連行されたゼン。彼を待っていたのは、思いもよらぬ「運命」だった。旅を続けながらさらなる高みを目指す若き剣士は、ついに師、そして自らの過去に迫る。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
作家、工学博士。1957年、愛知県生まれ。某国立大学工学部助教授として勤務するかたわら、1996年に『すべてがFになる』(講談社)で第一回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケンイチミズバ
71
シノが槍に射たれ亡くなった時、大事な人たちを守りきれない状況から刀を抜かない判断をしました。それは一国の領主が戦を思いとどまる判断と同じです。そしてゼンは初めて人の死を悲しむ意味を漠然とつかみ、カシュウの死を初めて振り返りました。死を悲しむことを知らなかっただけでなく、自分の中にカシュウが生きていることを覚ります。瑞香院での高貴な女性との面会、その夜の戦い、ゼンが本当は天上人であってもノギさんの好き人のままのラストを願いたいです。あと、ヤナギさんとタガミ・トウシュン先生の関係がとても面白かった。2016/05/23
コットン
65
akiraさんのオススメ本。剣豪小説であり時代小説でもあるようですが、そこは一捻りある森先生のことなので武士や商人がいるが、どこの国か、どの時代かが不明な摩訶不思議な小説です。かといって、内容も濃く面白い! 2019/11/21
佐島楓
53
森先生の思考が主人公のゼンにダイレクトに反映されているように感じる。人は、自己を完全に離れたところから文章を紡ぐことはできない。2015/04/29
神太郎
34
旅を通して、少し人としての成長が見え始めたゼン。ノギとの掛け合いを見ても、少しフランクさも出てきてる気がするし、ナニモノにも染まってない純粋さもあってそれがまたゼンの良さでもあると認識できる。侍が生きづらくなった世の中で侍としての強さを求めるゼン。今回もまた新たな出会いと自身の出生を少しだけ知り、どのような存在へ変貌していくのだろうか。2024/07/09
ゲバオ
34
ヴォイド・シェイパシリーズ3作目。3作目にしてようやく主人公ゼンの出生についてふれられた。「生きるとは負け続けること、死ぬとはもう負けぬこと…」相変わらずの森博嗣哲学の世界。なんか、このシリーズ読んでると心が洗われる…そして、ゼンとノギのほのぼのとしたなんとも間の抜けた会話がさらに癒してくれる。嫉妬したり怒ったりするノギがいちいち可愛い。ゼン、風呂の温度を気にするなんて俗世に染まってきたな…前は風呂に入れって言われてもなかなか入らなかった男が(^-^)2016/06/24