内容説明
先史時代から現代まで、人類の戦争における武器と戦術の変遷を、石・肉・鉄・火という文明の主要な構成要件別に著述、制約・要塞・軍団・兵站などについても科学的に分析する。戦闘集団が所属する文化との相関関係を解読する画期的な戦争と文明論。下巻は鉄器の利用、密集方陣から始まる戦闘や軍隊の形の変化、火薬と要塞、火力兵器の発展について。
目次
第4章 鉄(ギリシア人と鉄;密集方陣の戦争;ギリシア人と海陸戦略;マケドニアと密集方陣戦争の頂点;ローマ近代的な軍隊の祖国;ローマ以降のヨーロッパ 軍隊なき大陸)
付論4 兵站と補給
第5章 火(火薬と要塞;過渡期の火力戦争;海上の火力兵器;火力兵器の定着;政治革命と軍事変革;火力兵器と国民皆兵の文化;究極の兵器;法と戦争目的)
著者等紹介
キーガン,ジョン[キーガン,ジョン] [Keegan,John]
1934年、ロンドン生まれ。長年、英国のサンドハースト陸軍士官学校で上級講師やデイリー・テレグラフ紙の防衛問題担当編集者、欧米各国で客員教授等を務めた。王立文学協会会員で、また湾岸戦争ではOBE勲功賞を受賞している。2012年没
遠藤利國[エンドウトシクニ]
1950年生まれ。早稲田大学大学院博士課程修了。翻訳家、國學院大學講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mahiro
6
クラウゼヴィッツの最も忠実な弟子はヒットラーか…古代からの戦闘方法の推移の記述が興味深い。でも重戦車と急降下爆撃機の支援によるドイツ機甲師団の電撃戦も古代の密集方陣と騎馬部隊のパワーアップ版に過ぎない。大量殺戮兵器が開発され戦士階級でない一般民衆が続々と戦地に投入される近代戦の悲惨さに慄然となる。政治と戦争は同一の連続平面に属する…と言う事を否定する為の上下巻だったのか…ちょっと疲れた。2015/05/28
MUNEKAZ
5
戦争はそれぞれの文化にあった形態をとる。「戦争は政治の延長」というクラウゼヴィッツの主張も普遍のものではなく、彼の生きた19世紀の西欧文化に即したものであり、それは両世界大戦で破局に至り、核戦争の恐怖の前に矛盾をさらけ出したとする。原書はボスニア紛争のさなかに出たものだが、現代はどうであろう。終わりのないテロの連鎖に内戦、欧米リベラリズムに対する反発など、クラウゼヴィッツが準じた思想とは相容れない部分が多く、確かにその理論はマルクス主義と同じく耐用年数を過ぎたのかもしれない。それと邦題は誤訳も甚だしい。2018/11/05
CTC
4
上巻読了からふた月近く。私が世界史の知識を持たないからだろうけれど、なんとも整理の悪い展開に戸惑う。四章の付論《兵站と補給》辺りからようやく面白くなる。五章は近代戦。第一次大戦の塹壕戦の経験からドイツは電撃戦を編み出すが、この際戦車に加え、急降下爆撃機が砲兵の機能を果たすことがこの戦い方の肝になっていた。そこに注力した事でドイツ空軍は長距離爆撃機や戦闘機の開発を軽視せざるを得なかった(だからバトル オブ ブリテンにはハナから勝てるわけが無い)、というのは肯ける話だった。実質成す術なしの為の東部戦線と。。2015/05/26
ウラー
3
現代人が考えるようなクラウゼヴィッツ的な戦争――明確な目的をもち、合理的に遂行される戦争――は実際にはほとんどないことを明らかにする。古代ギリシャの生み出した「決戦」――人間同士が殺し合う白兵戦――が、人類の戦争スタイルの中でいかに異質かがわかる。未開人の「原始的な戦争」より、文明人の戦争のほうが虐殺的かつ残虐であるとは皮肉な話だが、人口が少なく絶滅戦争が起こり得る未開人が、戦争を儀式化し死者の出にくいかたちにしたのは納得できる主張だ。2015/06/04
Akito Yoshiue
2
勉強になる内容多数。2015/02/27