内容説明
人生は、恥ずかしいほどに思い切った変化をする。うどんの作り方がわからなかった昼。絶品のブリ大根が作れてしまった夕方。五十万ボルトのスタンガンを椎茸にあてた夜…日常のちいさな叫びに耳を澄まし、大震災をまたぐ波乱の一年を綴った七十六篇。心の奥深くを、なつかしく、切なく発光させる日記的エッセイシリーズ第二弾。
目次
すべてが気分のことだもの
春の日も釣瓶落とし
耳と目の今にも消滅する機会
春の日はもっと釣瓶落とし
とけるような甘い限界
砂漠、名古屋、銀河、いかが
それがけっこう邪魔な日々
なんたる最終の伝統だろう
春のセカンドインパクト
33歳のこり5セット〔ほか〕
著者等紹介
川上未映子[カワカミミエコ]
1976年8月29日、大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン歯ー、または世界』で早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞受賞。08年『乳と卵』で芥川賞を、09年、詩集『先端で、さすわさされるわそらええわ』で中原中也賞受賞。10年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞受賞。13年、詩集『水瓶』で高見順賞受賞。同年『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
147
川上未映子さんのエッセイを初めて読ませていただきました。「乳と卵」の時も思ったが、句点で繋がれた長い文章。独特なリズムでことばが紡がれ、心地よく読ませてくれます。内容は日常の普段の生活で感じたことが綴られています。普通のことが彼女の手を通すととても特別なことに感じてしまう。本編でも書かれていますが物事を精確に観察することって大切ですね。歯医者のことは同感しました。2017/03/17
こきよ
75
奔放な文章なんだけれども独特の可笑しみがある。なんだろう…妙な擬音かはたまた遠ぉぉ…い艶めかしさか…。ともかくチャーミングで好きな文章だなぁ。2016/06/21
風眠
73
(再読)2016年の始まりは、大好きな川上未映子のエッセイで。もともとミュージシャンだったせいか、文章に独特のリズム感がある。はじまりの「起」と終わりの「結」が遠くかけ離れてゆく思考の広がりに、ゆるりと身を預けながら読む。自由気ままにあっちへ、こっちへ、私を翻弄しながら川上未映子はゆく。文字、言葉、文章、そして描写が、私の目の中を通り過ぎてゆく。美しくて切ない文章の中に、食べることと生きることがあり、でも関西人らしい面白さもあり、こじらせたり、勇ましかったり。たゆたうように読み終え、今、戻ってきたところ。2016/01/04
優希
55
日常の小さなことに目や耳を澄ましているのだと思いました。懐かしさと新しさを感じる光がここにいはあります。2021/05/16
Eee
43
日々のあれこれを描くエッセイ 時折、詩的な表現が垣間見え 話の途中で詩的なものに変化するので 一瞬驚くが、未映子さんの文章はこんなだったと 思いながら楽しく読みすすめていった 日々のささいなことから、東北の地震のこと テーマや内容は多岐にわたるが しんみりとココロに浸透してくる作品だった2017/08/17