内容説明
幕末の先進的開国思想家にして革命思想家だった佐久間象山。「夷(西洋)の術を以て夷を制す」と、究極の攘夷のための開国を唱え、吉田松陰、小林虎三郎、山本覚馬らが師と仰いだ幕末最大の知識人。近代日本の国家戦略を構想したその生涯を追う。著者が病床で手を入れた最後の本。
目次
序章 象山暗殺
第1章 宇宙に実理は二つなし
第2章 非常の時、非常の人
第3章 『省〓(けん)録』
第4章 異貌のひと
第5章 東アジア世界図の中に
第6章 夷の術を以て夷を制す
第7章 黒船来航
著者等紹介
松本健一[マツモトケンイチ]
1946年(昭和21)群馬県生まれ。東京大学経済学部卒業。法政大学大学院在学中に『若き北一輝』(現代評論社)を発表。以後、日本の思想・政治・文学についての評論活動を展開。2014年(平成26)死去。著書に、『近代アジア精神史の試み』(岩波現代文庫、アジア・太平洋賞受賞)、『評伝北一輝』(全五巻、中公文庫、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y2K☮
33
1853年に浦賀へ来たペリー艦隊が備える砲の射程は2~3キロ(お台場に砲台はまだなく、連中は汐留辺りから江戸城を狙撃できた)。当時の和砲のそれは800メートル。勝負にならない。直ちに看破した象山の先見性と教養に戦慄。弟子の吉田松陰と方向性は同じだが違う点も見えた。松陰は陽明学の化身。正しいと信じたことを後先考えず実践する行動派。開国の必要性を認めつつ、国の誇りを示す攘夷的気概も否定しない。象山はリアリストで数学的な理論派。異国に支配されぬためにこそ開国して西欧から学ぶべし、攘夷はその後という理屈。下巻へ。2024/02/15
isao_key
11
江戸後期の兵学者、朱子学者、思想家象山の評伝。門弟に吉田松陰以下、勝海舟、加藤弘之、坂本龍馬など日本を担う人材を数多く輩出した。スケールが大きく、相当な自信家であり、時に大風呂敷を広げるが、近代的な合理的精神を持ち合わせていた。松前藩から依頼された大砲が完成して試射の際、途中まで問題なく作動していたが、突然爆発し砲身が破裂、見学人もけがを負った。藩の役人から文句を言われると、神様ではないので、千に一つの間違えがあるかもしれない。蘭書を読んで初めて製造したので、間違っても仕方ないのを承知してほしいと述べた。2016/05/25
じょるじ
0
佐久間象山というと、明治維新の礎の礎を築いた人物という印象を持っていましたが、詳しいところを知らなくて、読んでみました。でも、僕には難し過ぎました。本当に頁が進まかった〜さあ、下巻はどうしようかな?2015/12/15
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