中公文庫
「アメリカニズム」の終焉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 413p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122060296
  • NDC分類 304
  • Cコード C1110

内容説明

世界を席巻するアメリカニズムの解析は、近代主義の変容をどう捉えるかに関わる重要な問いを含んでいる。本書はそれに答えた先覚的な名著である。「グローバリズム」の限界を鋭く見すえ、調和ある社会に向けて思索を深めた本書の価値は、混迷の二十一世紀にあっていよいよ高い。

目次

第1章 「現代」が問いかけるもの
第2章 「ヨーロッパの時代」を支えたもの
第3章 「アメリカの時代」の構図
第4章 「アメリカニズム」の終焉
第5章 「近代」をつくったシヴィック・リベラリズム
第6章 「近代」から「現代」へ
第7章 結論―「冷戦以後」と日本の位相
増補 「グローバリズム」という虚構

著者等紹介

佐伯啓思[サエキケイシ]
1949(昭和24)年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。『隠された思考』(サントリー学芸賞受賞)『現代日本のリベラリズム』(読売論壇賞受賞)ほか著書多数。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

17
アメリカが牽引してきたアメリカニズムは今日グローバリズムという形で世界を覆っている。その内実である個人の自由、民主主義、市場経済は公共精神があってのものである。しかし、グローバリズムにおいて自由とは、経済的自由であり、民主主義も富の再分配など経済政策が主軸に置かれ、公共精神は顧みられなくなる。グローバリズムの世界では本来公共精神を発揮するべきエリートが利益の追求ばかりに熱心で公の事柄に関心を持たないことが国家内の分裂を助長している。分裂が富の源泉になるからだ。2015/10/05

やまやま

13
戦後の日本では、「アメリカ的なもの、あるいはアメリカ的文明を常に参照枠とし、思考の基軸に据えてきた」という認識がほとんど無意識化されるほどに社会に浸透した、という著者の指摘の価値が解るようになるまで評者はどれほどの歳月を必要としたかと若干憂鬱な読書であった。しかし、マジックのネタの一つは解けた気がする。他の評者も言及されていたように、リベラリズム+民主主義+市場経済→アメリカニズムという構図を考える中で、どうも扱いが難しいのは民主主義ということを徐々に感じ取っているのであるが、さてどのように処方するか。2021/02/13

isao_key

8
1998年刊行を文庫化したもの。本書でいうアメリカニズムとは、個人的な自由主義、民主主義、市場主義経済の理念を普遍的な価値とみなす。それが技術展開や大量生産方式であり、大衆社会の形成であった。現在ではこの文明に亀裂が生じ衰弱が始まっているという趣旨。過去には個人主義を、自分が平凡であることを謙虚に受け止めわきまえていたが、現代では個性のイデオロギーに踊らされ、自分が非凡な何者かだと思いたがっている。結果、個性が実現できないのは社会が悪く、社会から不利益を被っていると考える人が多くなっている。日本でも同じ。2015/07/19

風に吹かれて

4
あらゆるものを、教育・福祉・医療さえもグローバリズムは市場にぶち込んでいく。いまやリベラリズムはグローバル・エリートにのみ許された権利のようだ。そもそもアダム・スミスの国富論は、公共的な徳があってこその自由経済であって、公共的な徳のない自由経済は国を滅ぼすと論じているのだそうだ。デモクラシーにしてもリベラリズムにしても、どのような歴史的積み重ねから生まれてきたのかを捉えることが大切だ。どんな自由も社会や国があってのものであるということをあらためて考えたいと思う。 2015/02/21

ドクターK(仮)

3
近代的価値観、すなわちアメリカニズムを普遍的なものとみなすことの危うさを、政治、経済、歴史、文化といったあらゆる知見を動員して論じていく。リベラリズムは必ずしもデモクラシーとは両立せず、時としてナショナリズムと親和的になることや、グローバリズムが公共精神を持たないエリートを生み出してしまったことなど、個々の論点の鋭さもさることながら、それらを束ねる著者の思想の一貫性に驚く。また解説で施光恒氏が述べているように、20年以上前の著作であるにも関わらず、まるで現代を見通しているかのような先見性にさらに驚いた。2015/03/07

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