内容説明
信濃の守護・小笠原長時との戦で、窮地に陥った武田軍を、自らの軍配で救い、無敵の軍団に変貌させた山本勘助。一方、曾我冬之助は、予測不能な天才・長尾景虎の軍配者となった。だが、景虎と彼に反目する家臣団との対立を目の当たりにしてしまう―。第三の軍配者・冬之助は、好敵手・勘助率いる武田軍と戦場で、相見えることができるのか!?
著者等紹介
富樫倫太郎[トガシリンタロウ]
1961年、北海道生まれ。98年に第四回歴史群像大賞を受賞した『修羅の跫』でデビュー。幅広いジャンルで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
316
ここに来て主題が大きくぶれ始める。上巻を読んだだけでも、この先、三人の軍配者が戦場で知略を尽くした戦を繰り広げる展開は望めないのがよくわかる。完全に山本勘助が頭ひとつ抜けた存在感を発揮し、前作に引き続き主役を張る。冬ノ助は傍観者といってもよい扱い。謙信こと景虎の個性が強すぎて、やることが何もないのだ。その景虎と対比することで、勘助の老いや衰えが静かに、しかし着々と進行する様が、川中島でのラストの仕込みとして描かれる。小太郎にいたっては、もはやただのチョイ役で、しかも凡人にしか見えない。2021/06/22
yoshida
161
この作品は富樫倫太郎版の「風林火山」と言えるかも。第一次川中島合戦、甲相駿三国同盟の成立、第二次川中島合戦、諏訪御寮人の死まで。長尾景虎は独創的な軍事の天才として描かれている。冬之助の出番は少ないね。景虎は内政や外交が不得手であり、家臣や豪族、民は苦しい。いずれ長尾景虎を主人公にした作品も読まねば。この巻の最後で四郎左は再び子が誕生し望外の幸福に包まれる。10歳で家族が病死し、孤独で常に死が隣り合わせの人生であった四郎左。遂に千草と太郎丸というかけがえのない家族を持つ。この幸福が少しでも長く続いて欲しい。2017/09/18
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
106
富樫倫太郎の軍配者シリーズは二作目。表紙は漫画だが中身はいたってしっかりした作風。戦国時代は武田、上杉、北条、今川と、ごちゃごちゃした辺り。上巻では、武田と上杉の軍配者をメインとし、バランスよく全体を俯瞰しており、あまり詳しくない私にも分かりやすくて面白い。これからどんな展開が待っているのか楽しみに下巻へ!2020/06/28
再び読書
79
とうとう軍配者三部作の締めくくりに入る。冬之助と勘助との戦いが、この巻のメインテーマになる。本来冬之助が主役の物語が、頁は勘助に多くを割かれる。相変わらず千草との子を巡るやり取りは涙無くして読めない。謙信こと長尾景虎の天才ぶりが、ここで紹介される。信玄こと晴信も流石に謙信の技量を見誤ってしまう。まだ、ここには愛の旗印の直江兼続は登場しない。下巻でどうこの戦いが、進んでいくか楽しみです。2016/10/06
キャプテン
51
★★★★☆_「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1553年/戦国時代─川中島の戦い編/上杉視点】軍神・上杉謙信殿側から見た川中島の戦いでござるよ。通常の兵法からかけ離れた業(わざ)を使いつつも、決して負けない武将、それが謙信殿でござる。しかし、謙信殿は馬鹿がつくほどの真面目な性格で、全く遊びのない思考をする。「義」のためならば、損得勘定を抜きにして戦に赴く毘沙門天。その義のしわ寄せ、部下たちはたまったものではなかったであろう。そして戦略家・信玄と、戦術家・謙信は導かれるようにして、川中島に向かっていく。2017/11/06
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