出版社内容情報
立ち寄った村の庄屋で用心棒を乞われるゼン。気乗りせず、一度は断る彼だったが……。若き侍はなにゆえに剣を抜くのか。「正義」のためか、「強さ」の希求か、それとも?
内容説明
生も死もない。己も敵もない―「都」を目指す途上、立ち寄った村で護衛を乞われたゼン。庄屋の屋敷に伝わる「秘宝」を盗賊から守ってほしいのだという。気乗りせず、一度は断る彼だったが…。この上なく純粋な剣士が刀を抜くとき、その先にあるものは?
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
作家、工学博士。1957年、愛知県生まれ。某国立大学工学部助教授として勤務するかたわら、1996年に『すべてがFになる』(講談社)で第一回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、続々と作品を発表し、人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tetchy
123
前作ではゼンは道行く先々で色んな村を訪れ、色んな人と出会う、ロードノヴェルの様相を呈していたが、本書では1つの村に留まり、その村の庄屋の用心棒として雇われることになる。そのため前作にも増して決闘、即ち命の取り合いが繰り広げられる。それまでゼンは剣を極めれば極めるほど、無用な戦いを避ける境地に至ると気付いたが、今回は戦いの中で勝つことは美しいことではなく、美しいから勝つのだとの思いに至る。その境地を得るためには命を取り合いをしなければならない虚しさを知る。まさに「武士道とは死ぬことと見つけたり」であった。2024/11/28
ケンイチミズバ
82
土砂降りの中、ゼンひとり十四人の敵を倒します。しかし、読みながら何だか変だなと。味方が戦うシーンが1ページもない。屋敷の中から鉄砲の音が?なんとゼンよりも手練れのクズハラが撃たれた。なぜ?宝は奪われ、大勢が命を落とした。敵が残した馬に逃げた敵の跡を辿らせたゼンが見たものは。石燈籠の穴から敵を斬ったシーンは座頭市を思い出しました。今回は凄まじかった。含蓄に富む会話はいつも通り。なるべく刀を使わない、使いたくないゼンの生き方、カシュウの教えは素晴らしい。ラスト前のノギさんとの会話にほっこりしてしまった。2016/05/16
つねじろう
58
2巻目となりサイボーグからは少し成長して来た主人公ゼン。人に対して興味を持つようになりその興味が心に陰影を与えるようになる。人と関わりながらその人の言動を考えることで静かに確実に成長して行く。無邪気でかつ世の中を知らない事が逆に本質を突き周囲の新鮮な驚きは興味と関心に変わる。よって今回もモテモテ。それにしても盗賊達との対決シーンの描写は斬新で迫真なお且つ美しい。流石、森博嗣。理系のチャンバラはこうなるのね。一戦ごとに変化し吸収し成長し続けるゼン。その成長は益々目が離せない。次巻も楽しみに待ちます。2014/05/09
rio
55
都を目指す途上、立ち寄った村で護衛の任務を任され、盗賊からある秘宝を守って欲しいと頼まれる剣豪小説シリーズ第2弾。前作に続き淡々と話が進む中にある「静」と「動」の変化が良かったです。人々の考えや振舞いにより成長していく主人公ですが、彼自身の純粋さや天然さは失われず、読んでいて微笑ましくなります。ハヤとの何気ない日常の議論や意外な黒幕の正体等、細かいところが凝っていて楽しめました。次作も楽しみです。2014/06/08
ソラ
54
時代劇的な作品だけれども、ある種哲学書のような話運び。淡々とした文章なんだけれども無性にひきつけられる2014/06/01
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- 和書
- 心の疲れをとるコツ