内容説明
古代から現代までの名高い戦争について、戦闘力を殺傷力・移動力・防護力の三つの機能に区分し、戦闘はこの三要素の衝突による、相手の戦意のつぶし合いとしてとらえて実態を分析、兵器の戦闘力と運用する戦略・戦術の観点から、豊富な図解で考察する、従来の日本史を新しい視点でとらえる名著。
目次
第1章 倭歩兵の興隆と衰退―海北四百年戦争
第2章 律令徴兵歩兵の誕生と終末―蝦夷百年戦争
第3章 少数精鋭騎兵の勝利―覇権武士に移る
第4章 突撃騎兵と矛歩兵衝突す―元寇
第5章 歩兵台頭す―元弘・南北朝の乱
第6章 足軽歩兵地位を確立す―応仁より天下統一へ
第7章 陸の鉄砲・海の大砲―朝鮮の役
第8章 洋式近代軍の勝利―幕末・戊辰戦争
第9章 太政官徴兵軍勝利す―西南戦争
第10章 日本帝国軍の盛衰―日露より大東亜へ
著者等紹介
金子常規[カネコツネノリ]
1916(大正5)年生まれ。陸軍士官学校卒。四九期砲兵。自衛隊に入隊後、幹部学校戦術教官、特科群長、富士学校特科副部長を歴任。2000(平成12)年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fseigojp
19
これまた隠れた名著2018/12/07
roatsu
10
同世界史に続いて読了。なかば建国神話の世界もまじる古代日本の戦いの様相も出土品や文献の分析に加え、旧陸軍将校というプロとしての知見も交えて解釈することで相当説得力ある再現ができるのだなと。古来より伝統的に歩兵重視、機動戦力や砲力軽視の傾向が見て取れるのは興味深いし、やはり風土に根差したものでもあるのだろうか。いわゆる歴史書とは違うが、史実の羅列ではなく史実となった動き自体の古代から現代までの流れを追う異色で示唆に富む一冊。2015/04/02
あきさ
5
日本では珍しい、ちゃんとした軍事教育を受けた人物による軍事史。とはいえ、一般書というには必要最小限の説明しかなく、自分の詳しくない時代は細部まではわからない。しかし、桶狭間の戦いが奇襲ではなく、長篠の戦いも騎馬対鉄砲と描いていない点はこの本が書かれた1984年の時点では先進的だ。装備優位な軍が勝つ時代と装備が拮抗し戦術優位になる時代という見方はなかなか参考になる。2016/01/15
K
4
旅順攻略、乃木様❤️2016/03/21
S_Tomo🇺🇦🇯🇵
4
持論で恐縮だが「日本人は戦闘は得意でも戦争は下手」と思っているのだが、それを裏付けられるような一冊。根本的に事前の準備や検討もなく過去の成功例を鵜呑みに再現しようとして敗北、の繰り返し。また、過去の日本は弥生時代から結構戦争していた事にも気付かされる。「普通の国」になろうとしている今の日本に読んでおく価値のある一冊。2014/06/03