中公文庫
アダム・スミスの誤算―幻想のグローバル資本主義〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 258p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122059191
  • NDC分類 332.06
  • Cコード C1133

内容説明

20世紀末から世界を席巻したグローバリズム。本書は偉大な経済学者であり、文明評論家でもあったアダム・スミスの論議を基に、その内実に考察の錨をおろす。そして世界化現象のなかで、国家や地域アイデンティティに問いを提起する。本書を繙くことで、「グローバリズム問題」への見方は、清新な視点を獲得するであろう。

目次

序章 誤解されたアダム・スミス(「インターナショナル」から「グローバル」へ;「普遍的な市場」というイデオロギー ほか)
第1章 市場における「自然」(モノの正常な価格としての「自然価格」;賃金、利潤、地代は市場では決まらない ほか)
第2章 道徳の基盤(劇場化する商業資本主義社会;市場という見世物(スペクタクル) ほか)
第3章 富の変質(重商主義批判が暗示するもの;「貨幣は重要ではない」ということ ほか)
第4章 徳の衰退(土地を所有する者の責任;社会の承認の上に成立する自由 ほか)
第5章 経済と国家(自由な経済活動における自然の秩序;国際経済より国内経済、商業より農業 ほか)

著者等紹介

佐伯啓思[サエキケイシ]
1949(昭和24)年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。『隠された思考』(サントリー学芸賞受賞)『「アメリカニズム」の終焉』(東畑記念賞受賞)『現代日本のリベラリズム』(読売論壇賞受賞)ほか著書多数。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

9
「スミスは彼の生きていた時代には「道徳哲学者」だったのである。経済学という独立した分野は存在しなかった。経済学も広義の道徳哲学の一分野だったのであり、せいぜい「統治」に関わる一分野であった…このことは存外大事なことで、経済現象を把握するそのまなざしも、決して社会や歴史、そして道徳的価値を論じるその思考と切り離されたものではなかったのである。それは、過度に「科学」を自称し…自由競争を唱える割には結構高い参入障壁を構え、閉鎖的な権威を掲げてしまった今日の経済学などとはまったく異なったものであった」2017/10/06

Hiroshi

7
現代のグローバル・エコノミーは、市場論と自由主義論の発端にアダム・スミスの名を持ちだす。見えざる手だ。だが著者がスミスの道徳感情論と国富論を読むと、スミスは市場経済を基礎づける確実なものの探求をしていると理解する。スミスは新自由主義を支持していない。だから新自由主義者が自分達の理論はスミスの流れを汲むと主張することは、スミスにとっては誤算だったという本。スミスについては、高島善哉氏と堂目卓生氏の新書を読んだ。道徳感情論と国富論を併せて読むことは共通だが、本書はスミスの生きた時代の説明が詳しいことが特徴だ。2022/05/31

sayan

3
国富論を記したアダム・スミス以上に、道徳感情論の著者としてAスミスが全面に出ている印象。p.60イギリスの道徳哲学者にとって社会がすでに自然性を含む。自然状態と対比した人為的な社会状態という仮説は受けいれられない、p.158「徳」を「顕示する」のは共同体の防衛に参加すること、それは独立と財産=土地を結びつける基本条件p.215国境を越えて動く貨幣という「富」に活動の機軸を乗せる金融、貿易商業といった経済の次元と、土地と労働に依存した生産という動かない財産に「富」の基礎をえようとする経済の時限の対立がある。2016/04/26

Yuji Terazawa

1
【 2015年読書日記その4 】 アダム・スミス。自由主義経済の主唱者とされ、今日のグローバル経済の祖とすら言われているが、本当にそうなのか? 本書は、その通説に真っ向から戦いを挑む。その方法は至ってシンプルだ。スミスの『国富論』『道徳感情論』が書かれた当時の時代状況を踏まえつつ、原典をきっちり読み込む。 しかし、そこから導き出される結論は、通説とは真逆のものだ。私には本書の見解は概ね妥当だと思われるのだが、この見解の相違が何故生じるのか、むしろそちらの方が気になった。2015/01/08

set-you

1
解説も書いている、著者の教え子の一人柴山さんと萱野さんの対談で、柴山さんが言っておられた「あの時代のアダムスミスに供給が需要を大きく上回る事を想定はできない」と言う言葉を思い出した。本書を読んで感じたのは、アダムスミスが神の見えざる手において慧眼を持っていた事は揺るぎ無いだろうが全てにおいて、市場経済の全体おいてもだし、それが百年に二百年でどう変わるかと言う未来予測を含めて無謬である訳がないのに、都合よくつぎはぎされ援用された被害者の様なものなのかなと言う印象。2014/10/22

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