内容説明
故郷でのおぞましい体験から逃れるように、黒江は憧れのカメラマンが住む東京へ向かった。師匠の家に住み込みながらアシスタントとして一歩を踏み出すが、不意によみがえる過去の記憶。それは、再び心を通わせはじめた初恋の相手・彌生との関係にも、暗い影を落とし出す―。
著者等紹介
島本理生[シマモトリオ]
1983年、東京生まれ。2001年『シルエット』で第四四回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第二五回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りゅう☆
77
カメラマン仁の家に居候しアシスタントとして送る日々。男女関係はない師弟関係である距離感がいい。ある日、故郷に帰省した時に彌生と再会。やっぱり彌生のことが好き。私だけの神様。誤解が解け、再び交際することに。賢治から受けた忌々しい過去を完全に拭い去ることはできないけど、ようやく心に安泰な日々を送り穏やかな気持ちになった矢先、黒江は彌生からの欲望を拒んでしまう。父親に会いに行き、過去の秘密を知る。黒江の過去ってダークすぎる。彌生に父親像を求めた黒江。彌生と決別。とうとう心が壊れた。やっぱり黒江の人生って重い。→2023/03/06
mmts(マミタス)
69
普段ならば毛嫌いする島本理生さんの小説を意外なことにすんなりと受け入れました。好き嫌いが分かれる作風ですが、このアンダスタンド・メイビーに関してはオススメだと思いました。愛情の本質に気付きました。それぞれの登場人物を通して、いかにトラウマを乗り越えながら生きるのかを教わりました。きっと、このアンダスタンド・メイビーは再読するかもしれません。何かしら簡単にはカミングアウト出来ないトラウマある方にはオススメだと気付きました。生きていく意味をあらためて学びました。島本理生さんの作風を見直したいと反省しました。2016/12/06
優希
63
読んでいてとても辛かったです。物語が進み、色々なことを知れば知るほど体に何かが突き刺さるように痛みが走りました。目を背けたいことばかりで苦しくなりました。黒江も黒江の両親も、浦賀も彌生君も綾乃さんも皆過去に何かを抱えていたんですね。それでもただ黒江が悲しかったです。傷つくのは自分のせいだと疑わない姿に涙が出そうになりました。傷ついたとき手を差し伸べる人が本当に神様になれないのは当たり前ですが刺さります。最後の浦賀の手紙が全ての救いでした。黒江は最後に一人で立てたのですから、これからを大切にして欲しいです。2015/01/02
坂城 弥生
60
守りたかったけど、守れなかったもの。守れるもののほうが少ないのかも。怖くて触れられない忘れた振りをしていたものを見つめ直した黒江はもっと大きくなるんだろう、と思った。浦賀の「死にたい人間が死ぬのは仕方ない」でも「黒江に死なれたら困ります」これがものすごい大きな思いやりだと思った。2020/12/23
えりこんぐ
49
あぁぁ、下巻もどんどん重くてつらい。安心できる居場所を探し続けてるだけなのに。そんなに傷ついてるのに、逃げずに父親に会いに行ったり、ちゃんと自分で決着をつけようとする黒江だから、危なっかしいのに応援してしまう。神様、なんていないけど帰る場所は見つけられたかな。上下巻一気読み、堪能しました♪ 【積読18】2022/02/26
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