内容説明
筑波に住む中学三年生の黒江は、研究者をしている母との二人暮らし。両親の離婚以来、家庭に居場所を見つけられずにいた。ある日、書店で目にした写真集に心を奪われ、カメラマンになるという夢を抱く。同じ頃、東京から転校生がやってくる。太めで垢抜けない印象の彌生に、なぜか心を奪われる黒江だった。「やっと見つけた、私だけの神様を」―。
著者等紹介
島本理生[シマモトリオ]
1983年、東京生まれ。2001年『シルエット』で第四四回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第二五回野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aoringo
87
ごく普通の女子中学生。平凡だった日々から一転坂道を転げ落ちていくような描写に読んでいて辛いものがあった。若さを利用価値として謳歌する子たちは好きではないけど、自分を大事にして!と何度も思った。「写真が好き」という明確な目標もあるのになぜそっち側へ行ってしまうのか今の自分には理解不能でした。彌生や光太郎と一緒にいるときはいきいきしているし、時にはその居心地のよさに寄りかかってもいいのでは。後編では目を覚ましてくれるといいのだけど。2020/06/06
mmts(マミタス)
68
普段ならば島本理生さんの世界観はなかなか受け付けません。登場人物の優柔不断さや情緒不安定さに段々と苛々しますから。それなのに、このアンダスタンド・メイビーの場合は違いました。登場人物が思春期のせいか、ある意味では瑞々しさを感じました。垢抜けない同級生への初恋から不良の先輩への恋心などは、かなり感情移入しました。黒江ちゃんの一挙手一投足は誰もが共感しやすい一面はあるかと。私の場合はホットロードや尾崎豊さんの歌詞を連想しました。はたして黒江ちゃんと彌生くんはまた付き合えるのか気になりました。2016/12/04
優希
68
少女から大人へ変わっていく独特の時間の雰囲気や無自覚さは時に諸刃の刃となり恐ろしい顔を見せます。それでも惹かれずにはいられませんでした。黒江の抱えるものが重くて辛いけれど、堕ちるしかなかったその姿が愛おしくてたまりませんでした。彌生君を見つけたとき神様だと思ったけれど違う。それは羽場先輩も賢治君も同じで、求めていた神様には近かったけれど完全な神様にはなり得なかったのでしょう。期待し、信じても裏切られる様々な想いを抱えて黒江は彷徨うのでしょうね。苦しくて窒息しそうですが神様を見つけることを望みたいです。2015/01/02
坂城 弥生
56
こないだ読んだ島本さんの作品は子持ちの妻だったけど、今回はぐっと年齢が下がって高校生。東京に出てきたところで終わったので下巻でどうなるのか楽しみなような不安なような…せめて浦賀んが悪人でないことを祈ってます。2020/12/23
ソラ
52
だんだんと堕ちていく主人公。読んでて苦しくなってくる。だがしかし、読む手を止められないという。早く下巻読まないと。2014/03/02
-
- 電子書籍
- 魔導の系譜【分冊版】(15) ブレイド…
-
- 電子書籍
- 最高の日本酒 関東厳選ちどりあし酒蔵め…