出版社内容情報
反ファシズム義勇兵の一人として戦った日本人の実像を北海道からニューヨーク、スペインと取材を重ね描出した名作ノンフィクション、待望の文庫化!
内容説明
ファシズムが世界で台頭した時代、「第二次大戦の前哨戦」としてスペイン内戦が始まる。孤児であり、船乗りを経てニューヨークで底辺生活をしていた一人の日本人が、この戦いに義勇兵として加わった。その実像を詳細な史料踏破と、関係者への膨大な取材をもとに明らかにする。
目次
1 日本(ジャック白井の履歴書;函館時代の白井像 ほか)
2 アメリカ(ニューヨークの日々;スペインを救え! ほか)
3 スペイン(フランスに上陸;ビバ・ラ・レボルシオン ほか)
4 その後(フランコ軍の大反攻;国際旅団の解散 ほか)
著者等紹介
川成洋[カワナリヨウ]
1942年、北海道生まれ。北海道大学文学部卒業、東京都立大学大学院修了、社会学博士(一橋大学)。ロンドン大学、ケンブリッジ大学、マドリード大学客員研究員などを歴任。1977年より法政大学教授。現在、法政大学名誉教授。武道家(合気道六段、居合道四段、杖道三段)としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スー
25
58銃を持ったコックと呼ばれたジャック白井についての2冊目の本です。こちらはジャック白井を資料と証言から追いかけていますがジャックについては前の方が人間味を感じました、やはり筆者が知り合いだったからでしょう。こちらはジャック白井を半分もう半分はスペイン内戦と国際旅団についてでした。スペイン内戦は兵器の実験場というのはドイツ側の本で知ってましたがファシズム対共産主義とは知らなかったし日本がフランコ側に加担してたのも初耳でした。勉強になりました。2021/04/15
駄目男
12
申し訳ないがスペイン人と聞くと、いざ戦争となればその恐ろしい残忍性が浮かんでしまう。コルテスのアステカ帝国、ピサロが目をつけたインカ帝国など、彼らが何をしたか読んでみるがいい。文明を滅ぼし抹殺し殺戮と虐殺を繰り返したスペイン人は、ナポレオン戦争の時にもその残虐性を発揮している。ここに書かれたスペイン内戦は通常、攻める側が人民戦線軍といわれるが、この内戦では逆で政府軍が人民戦線軍と呼ばれている。対するファシズムを標榜するフランコ軍が決起して政府軍を攻める。世界55か国の国から多くの志願兵が集まり、2022/12/29
BLACK無糖好き
9
1930年代のスペイン内戦で共和国側を支援する各国の義勇兵「国際旅団」にアメリカ大隊の一員として参加し、戦死した日本人 ジャック白井の人物像に迫る。更に国際旅団の活動の推移も辿っている。限られた資料と関係者の聞き取りから、反ファシズム闘争に邁進して華々しく散って行った一人の日本人の立体像を朧気にでも描出しようという著者の熱意が感じられる。経済恐慌が広がり社会不安が増大する中で、ファシズムとコミュニズムが先鋭化し世界が揺れ始めた1930年代、混沌とした時代の息吹も伝わってくる一冊。 2016/04/09
韓信
1
スペイン内戦に参加した国際旅団の盛衰について、唯一の日本人兵士ジャック白井を中心に描くノンフィクション。函館出身の孤児から船乗りを経てNYでコックとして働き、スペインの戦地では「銃を持つコック」として仲間たちから愛され、炊事兵として頼られた白井の実像を、文献資料と関係者への取材で構築するとともに、出征から現地での激戦までを生々しく描く秀逸な戦記でもある。30年代の反ファシズムの高潮や共和国の内訌などの背景を含めうまく時代を切り取っている。しかしスペイン内戦と国際旅団は現在のウクライナ戦争と義勇軍がダブるな2022/08/16
鋼鉄みかん
1
本書は過去に朝日選書で出版された物の加筆修正版です。 スペイン内戦にアメリカ人義勇兵に混じって参加した日本人、ジャック白井という人物を追いつつも、義勇兵を中心とした国際旅団が、どのようにスペイン内戦をたたかい、消えていったのか、当事者のインタビューを交えつつ丁寧に取材しています。 ジャック白井という人物に関しては思いのほか情報が少なく、函館出身の恐らく日本人であり、アメリカに渡航した後コックとして働いていたということしか分かっていないようですが、取材から彼が多くの人から一目置かれていたのが伝わってきます。2014/11/25
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- 和書
- 李の花は散っても