出版社内容情報
記憶の奥に刻まれた奄美の暮らしや風物、幼時の思い出、特攻隊長として島にやって来た夫島尾敏雄との出会いなどを、ひたむきな眼差しで心のままに綴る。第十五回田村俊子賞受賞作。
内容説明
幼い日、夜ごと、子守歌のように、母がきかせてくれた奄美の昔話。南の離れ島の暮しや風物。慕わしい父と母のこと―記憶の奥に刻まれた幼時の思い出と特攻隊長として島に駐屯した夫島尾敏雄との出会いなどを、ひたむきな眼差しで心のままに綴る。第十五回田村俊子賞受賞作。
目次
1(真珠―父のために;アセと幼児たち―母のために;茜雲 ほか)
2(旅の人たち(沖縄芝居の役者衆;支那手妻の曲芸者;赤穂義士祭と旅の浪曲師 ほか))
3(特攻隊長のころ;篋底の手紙;その夜)
著者等紹介
島尾ミホ[シマオミホ]
1919年(大正8年)鹿児島県に生まれる。奄美群島の加計呂麻島で幼少期を過ごし、東京の日出高等女学校を卒業する。戦時中、加計呂麻島に海軍震洋特別攻撃隊の隊長として駐屯した作家の島尾敏雄と出会い、46年に結婚。豊かな自然と民俗に彩られた南島での少女時代の記憶を語った『海辺の生と死』により75年に南日本文学賞、田村俊子賞を受賞した。2007年(平成19年)逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おくちゃん🌸柳緑花紅
96
先日映画「海辺の生と死」を観た。本作品でご両親の素晴らしいお人柄に胸熱くし、表題作の誕生の喜びと浜辺の死、命がすぐそこにある環境、島に旅の人達が訪れる時の様子と心の動き、「親子連れの踊り子」が印象深い。お母様の誰に対しても同じように尽くすお姿。そして映画で描かれていた「特攻隊長のころ」心のままに真っ直ぐに強い恋心が波の音と一緒に蘇る。ひたむきな姿のその後は、死の棘や狂う人を読めば良いのだろうが、私はこの作品の両親の為、我が子の為にとの作者の気持ちが愛おしくこのままの作者だけを知っておきたい気持だ。2017/08/20
ケンイチミズバ
81
奄美の自然と人の暮らしが素朴に描写されている。小説というより風土記と解釈した方がよいです。屠畜の描写など幼い目に焼き付いた記憶が鮮明で生々しく、自然が匂うほどに伝わります。特攻隊隊長の人柄から島民みなが付き従う気持ちになり、隊員だけで逝かせない、その時が来たら全員で自決すると覚悟したこと、ミホは一人抜け駆けして隊長に会いに行き、抱きしめてもらったこと、全て当時の気持ちが強く伝わります。出撃を聞きミホが風呂場で身を清めていたところ照明弾の明かりを全身に浴びた情景の不思議な感覚など実体験ならではの表現です。2017/04/27
夜長月🌙@5/19文学フリマQ38
49
不思議な読書体験でした。「死の棘」で浮気をされた悲惨な妻として書かれる立場にあったミホさんが感受性豊かな穏やかな本を書いています。幼少期の思い出が主ですが少し、夫と出会った頃の熱愛話も出てきます。表題作「海辺の生と死」がやはり印象的です。子やぎの誕生に命の感動をおぼえ、牛の死にあたって命を見つめる透き通った感覚が胸に響きます。2017/05/20
馨
41
文章がとても美しいです。島尾隊長とのお話が印象的でした。あと、鳥の章も。。美しい日本の風景や日本人を再確認出来ました。2013/10/06
けぴ
39
『月に3冊、読んでみる?』に紹介されていた本。奄美大島、加計呂麻島を舞台にしたエッセイのような小説。時代が違いすぎて今ひとつ独特の世界観についていけませんでした…2023/03/09