内容説明
政敵を巧みに操り、合衆国分裂の危機を乗り越えた稀代の大統領の知られざる政治手腕と人物像を描く決定版評伝。生い立ちから弁護士時代を経て、揺るぎない信念で政界進出を果たし、かつて指名選で戦ったライバルを懐柔して協力を得ながら、民主党に対抗、一八六〇年一一月に第一六代大統領に選出されるまでの日々が克明に描かれる。
目次
第1章 待機する四人の男たち
第2章 上昇への切望
第3章 政治の魅力
第4章 略奪と征服
第5章 激動の五〇年代
第6章 嵐の襲来
第7章 指名への秒読み
第8章 シカゴでの大詰め
著者等紹介
グッドウィン,ドリス・カーンズ[グッドウィン,ドリスカーンズ][Goodwin,Doris Kearns]
ニューヨーク・ブルックリン生まれ。コルビー大学卒業後、ウッドロウ・ウィルソン・フェローシップを獲得してハーバード大学で行政学を学び、博士号を取得。当時のリンドン・ジョンソン大統領に招かれ補佐官となる。その後、ハーバード大学教授としてアメリカの大統領制を教える。代表作にピュリツァー賞を受賞したNo Ordinary Time
平岡緑[ヒラオカミドリ]
福岡県に生まれる。上智大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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世話役
7
映画を観た勢いで読んだ。本書は映画化された部分のプロローグにあたる。最も偉大な大統領とされるリンカーンだが、当時は候補者の中で最も無名なダークホースに過ぎなかったというのが驚き。後に彼の閣僚となる大統領選のライバル達にも相当紙面を割いて叙述されており、引用文献も多いため、読んでいる内は少々うっとうしく感じることもあった。だが、そのおかげで舞台となった歴史の背景を詳しく知ることができ、結果として話に入り込むことができたので、読み終えてみればこの構成でよかったと思う。映画を観る前でも本巻はお薦め。2013/04/29
大竹 粋
2
我が魂を聖地に埋めよ、を読み同時代の白人の歴史を裏側で感じたいと手にした本。リンカーンの用意周到さと傑出した政治家としての能力、彼が指名を勝ち取るまでの周囲の膨大な情報、政敵の思惑。 インデァンが虐殺される背景に人種差別があり、奴隷制度は廃止の方向にありつつも、そのリンカーンの周辺でさえ、人種差別はまったく自覚もなく、問題とされ制度化されるまで約100年かかった、、、 なんなんだろう、人間とは。それにしても、リンカーンの当選、南北戦争、そのわずか2〜3十年で黒船だもの、まいるね彼らのエネルギーには。2013/06/11
シロスケ
1
凄く克明に書かれていて、苦戦しました。後2冊あるんですよねぇ。映画化原作との事ですが、映画も三部作?2014/01/13
mniwa
1
やはりシワードがすき2013/04/15
うーちゃん
1
原題を意訳すると「ライバルを起用してつくった政権~天才的政治家アブラハム・リンカーンの物語」とでもなろうか。リンカーンの評伝と言えばそうなのだが、共和党の大統領指名選挙を争った3人のライバルたちにもたっぷり紙幅をとっているのが本書の特徴。上巻だけで500ページ、しかも今時の文庫にしては文字もぎっしり。読むのにはかなりの覚悟がいるが、読むだけの価値はある。大統領指名選挙でリンカーンは実はダークホースだったとは正直知らなかった。2013/04/18