内容説明
自家焙煎の草分け、吉祥寺「もか」店主・標交紀。“感動を誘う”コーヒーを創り出した男―。我を忘れて焙煎にのめり込み、生豆を選び抜き、抽出温度一℃の違いを見きわめて、ダイヤモンドのような一杯を追い求めた熱血漢。独自の文化を育んできた日本のコーヒー自家焙煎。その奥深い世界に身も心も捧げ尽くした、稀代の求道者ともいうべき無骨な生涯を、豊富な逸話をまじえてたどる。
目次
感動を誘うコーヒー
もかのコーヒーは雑味だらけ?
自家焙煎はニヒリズムの極致
ドリップ、サイフォン、フレンチプレス
“深煎りの甘み”を引き出す焙煎度
飲み残しにさえ傷ついて
客との一騎討ちに備える
映画監督になるはずが
生涯の師との出会い
焙かねばただの“湯通し屋”〔ほか〕
著者等紹介
嶋中労[シマナカロウ]
1952年、埼玉県川越市に生まれる。本名・小林充。慶應義塾大学文学部独文科を卒業後、出版社に勤務。月刊誌編集長、編集委員などを歴任する。現在、フリー・ジャーナリスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めしいらず
58
自家焙煎珈琲業界の寵児、吉祥寺「もか」の故・標交紀氏の足跡を、著者、夫人、弟子、同業者たちが回顧。焙煎機やネルフィルター内の温度を1度単位まで精密に管理し丹精込めた珈琲。客に飲み残されると眠れなくなり、遂には神経衰弱に至るような愛すべき一途さ。理想の珈琲像を掴む為、夫人までも道連れに世界中を行脚してしまう猪突猛進ぶり。周囲の無理解に傷つき絶望しつつ、それでも理解者を求めて止まぬ孤高の求道者。生涯に亘り1つ事を一心不乱に没頭する生き様のカッコ良さ。強く心惹かれる。1度もお店に行けなかったことが心底悔しい。2015/04/06
F
23
日本の自家焙煎珈琲店の草分け、吉祥寺の名店「もか」の標交紀氏を偲びつつ、独自の進化を遂げた日本のコーヒー文化のことや、自家焙煎黎明期の苦労、コーヒーそのものの歴史など、標氏本人や、その他のコーヒーに人生を捧げた求道者たちの逸話を綴った一冊――。コーヒー深いヨ……いやはや、私もコーヒーには一言あるつもりでいましたがトンデモなかった。足元にも及ばない。「一秒、一℃、一g」を見極め、ダイヤモンドのような一杯を追い求めた標氏の尋常でない情熱に圧倒されました。自家焙煎、精進します。ああ、うまいコーヒーが飲みたい!2011/12/26
スプリント
11
コーヒーにとりつかれた人たちの逸話はどれも驚かされる内容ばかりです。サービス業というよりも芸術家という感じですね。2015/07/24
N.Orie
5
コーヒーに一生を捧げたひとりの男のドキュメント。たかがコーヒーにどうしてここまで夢中になれるのだという不思議さとともに、生き甲斐を見つけ出した人間から放たれる爽やかな空気を味わうことができる。亡くなる間際「俺、ちょっとやり過ぎたかな」と呟いたというエピソードが、また素敵である。全国にいるお弟子さんたちのコーヒーを、今度飲みにいってみよう。カウンターにいきなり座ったりせず、テーブル席の隅っこに座って「コーヒーください」と頼んでみよう。2012/04/12
みじんこ
5
コーヒーを飲み残す客がいると心悸が高ぶり、しまいには神経衰弱になるような人間がいるなんて・・・。こんなにマジになれるなんて、なんか嬉しくなっちゃうね。標さんはコーヒーを「珈琲道」にした人だね。飲んでみたかったな〜。掲載されているお店のどれかには行ってみよう。2012/03/22
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